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老人と子供の触れ合いを描いた絵本「四つ葉ほいくえん」の作者、大橋 冨貴子さん(85)


絵本を手に「天国の両親や
夫に届けたい」と、
語る大橋冨貴子さん
=大垣市の自宅
 ♯ばあちゃんのせなかは ぽかぽかおふとん たのしいゆめが いっぱい いっぱい うさちゃんたちと かけっこできるよ めだかちゃんたちと おゆうぎできるよ♯。大橋冨貴子さんが物語を書き、文芸社(東京都)から10月に発行された絵本「四つ葉ほいくえん」の子守歌だ。絵本には、子どもたちとお年寄りの楽しい触れ合いが描かれており、読む人の心をほのぼのとさせてくれる。大橋さんは「書くことが好き。生きているうちに何かを残しておきたかった。周りの多くの人に感謝しています」と、うれしそうに話す。


大橋さんが日ごろ書き留めた
エッセイなどの原稿や下書き
=大垣市の自宅
 「四つ葉ほいくえん」(A5判、24ページ)は、日ごろ「元気なうちは誰かの役に立ちたい」と考えていたおばあさんが、隣の若いお母さんから「ちょっと子どもを預かってくれない?」と頼まれ、引き受けることからスタート。子どもたちの面倒を見て過ごすうちに年をとるのも忘れて毎日が楽しくなったおばあさん。噂を聞いて子どもを預ける人が増えたおばあさんは「ばあちゃん友だち」に応援を依頼。「ばあちゃん友だち」だけでなく、おじいさんたちも応援に駆け付け、子どももおばあさんやおじいさんも楽しい「四つ葉ほいくえん」が誕生。園では、もちつき大会やおひな祭り、七夕、運動会、冬には雪だるまづくりなど、子どもたちが地域のお年寄りに支えられて元気に過ごすストーリー。子どもだけでなく、お年寄りにも読んでほしい絵本だ。絵は、イラストレーターの高尾斉さんが担当した。


新しく入った本として紹介される、
絵本「四つ葉ほいくえん」
=大垣市立図書館
 出版のきっかけは、文芸社の「えほん大賞」。子どものころから本を読んだり、作文を書くのが好きだった大橋さん。昨年の第14回えほん大賞の募集を新聞で知り、さっそく物語を書いてストーリー部門に応募。作品を読んだ文芸社から「内容が面白い。出版しませんか」と勧められた。7年前に発症した国の特定疾患「潰瘍性大腸炎」の治療を今も受けている大橋さん。「何かを残したい」と、出版を決意。今回の文芸社からの発行となった。
 「保育園不足で、入りたくても受け入れられない子どもがいる現代。お年寄りも元気なうちは、自分で協力できることはやっていかなければ。一人ではできなくてもみんなで手をつなげば」との思いをまとめた。岐阜県大垣市に生まれ大垣市で育った大橋さん。「大垣市が大好き。地方が頑張らねば」という。絵本にはそんな大橋さんの思いが詰まっている。


思いついたことを書き留めておこうと、
机に向かう大橋さん
=大垣市の自宅
 「子どものころから本を読んだり、感想文や作文を書くのが好きだった」大橋さん。毎週のように図書館へ通い、サスペンスから恋愛もの、時代もの、文芸誌などあらゆる本を読んできた。最近は体調を崩して行けないが、書くことは今も大好きで、ペンを取る。ふっと書きたいことが頭に浮かんだ時に、近くにある雑用紙などに書き留めてきた。これまでに、岐阜県の読書感想文コンクールや、新聞社への投稿など、数多くの作品を書いてきた。以前は、一つ書くのに4〜5日はかかっていたが、今回は徹夜して一気に書きあげた。
 母親の看病などで、ペンをとることができなかった時もあるが、長く書き続けてきた大橋さん。「年をとって覚えも悪くなり、なかなか書けない時もあったが、やっと思いがかなった。うれしい。天国で待つ両親や39歳と若くして亡くなった夫に届けたい。『もうじき行くから、ちょっと待っとってね』…。元気なうちは、書き続けたい」と、明るく話す。
 絵本「四つ葉ほいくえん」は、全国で発売中。
2018.11.01(子林 光和)

今回の西美濃な人

大橋 冨貴子(おおはし ふきこ)

 岐阜短期大学(現・岐阜市立女子短期大学)家政科卒。生活科学専攻で栄養士の免許を持つ。戦後間もなくの岐阜県立大垣北高校時代には、同県大垣市長を務めた故・小倉満さんらと一緒に学ぶ。「楽しかった」と当時を懐かしむ。常に前向きで、「世の中の情報を得るため」と、85歳の現在も新聞をじっくりと読む。気になった新聞の切り抜きもしている。趣味は長唄。「苦労もあったが、今は少し落ち着いた。優しい子どもや孫、嫁に囲まれ、今が一番幸せ」と笑う。大垣市室村町在住。


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