五月の下旬に小学校の同窓会がありました。私達のクラスは学年一クラスで四十六名、今では考えられない人数です。すでに鬼籍に入った人が十六名、当日の出席者は十八名でした。何十年ぶりかに会う友は、それぞれの人生を生きてきたんだなあと、その重みを感じさせられました。思い出話に盛り上がりましたが、そんな中で今の社会の生き難さも話題になりました。昔は大人ももっと大らかで、私たちが学校帰りに寄り道したり、いたずらしたりしても、人に危害を加えることさえなければ許されることも多く、「あんなことがあったっけ…。」と、皆、いつの間にか小学生の顔に戻っていました。
会の終了後、その中の一人が「以前見た君の本の中に徳源院のことが書いてあったけど…。」と言うのです。徳源院というのは、柏原にあるお寺で、私が好きな無住寺です。京極家の墓所がありますが、一般に余り知られていないお寺なので、何故知っているのかと不思議に思ってたずねてみると、「実は、京極家の末裔なんだ。」と言うのです。それには驚きました。
今、NHKで豊臣兄弟を放映していますが、信長の妹のお市の方が浅井長政との間にもうけた三人の娘のうち、長女は秀吉に、次女は京極家に、そして三女は徳川秀忠に嫁ぎました。今後、ドラマの中でもそんな話が出てくるかもしれません。
徳源院には佐々木道誉の手植えと伝わる桜があり、春には桜が咲き、新緑の頃には楓の若葉が美しく、私は、下から空を見上げては、黄みどりの葉の重なりを鑑賞したものです。晩秋ともなると、本堂から墓所に至る道にはいちょうの葉が、まるでじゅうたんの様に一面に黄葉の道を作ってくれるのです。そういえば、もう十年位訪れていないので行ってみたいと思ったのですが、山の中で熊に遭遇するのも怖いと思い直し、あきらめました。
でも友人のお蔭で遠い歴史のことを思い出すことができ、忙しい日々の中でふと豊かな心の時間を持つことができたのでした。
人は興味をもつと、そのことについて深く知ろうとするものです。若い頃に歴史のことに血道をあげていた日々を思い出し、子ども達も色々なことに興味をもって人生を豊かに生きていってくれると良いなあと願ったことでした。庭先に紫陽花が咲いています。
2026.6.8 発行