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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

トモニ療養センター 河島淳子先生を偲んで

 二年程前のことです。岐阜市の小児科医のI先生から突然メールをいただきました。「河島先生が、もう一度岐阜に行きたいとおっしゃって中野先生に連絡するようにとのことでした。岐阜にいらっしゃる時にはお手伝いしていただけますか。」「もちろんです。楽しみにしています。」とお応えしたのですが、残念ながら今年の二月に先生は永遠の眠りにつかれてしまいました。
 河島先生にはじめてお会いしたのは十七年前のことです。当時私はひまわり学園長として県の委託事業の「西濃圏域発達障がい支援センター」を受託したところでした。先生は岐阜県自閉症協会の招きで来られ、講演をなさったのです。小児科の医師であった先生は、三人目に生まれたはじめての男の子が自閉症と知り、医師をやめて、その子の育児に専念することにされました。
 先生はその著書の中で、「誤った育て方で彼を歪めてしまってはいけない。無知から誤ったやり方で療育することは罪なことである。彼の人格に対して許されることではない。」という思いから、まず自分で出来る限りの勉強をこつこつとしてきた。」と書かれています。そして「様々な情報の中から、息子にふさわしいと思われるもの、納得のいくもの、必要と思われるものを選択し、ミックスし、家庭で取りくめるものに変えていかなくてはならなかった。」と子育ての苦労にも触れつつ、「家庭は社会生活の基礎を学ぶ場で、一番重要な療育の場だと考えています。私は親がすぐれた療育者にならなければ子どもの成長は望めないと考えています。」とも書かれています。この文章が書かれた当時は息子さんは二十歳を超えておられましたので、先生は途方にくれている若いお母さんたちのために新居浜にトモニ療育センターを起ち上げられ、全国から多くの親子が先生のもとを訪れて指導を受けるようになっていました。翌年、私は、どうしても先生の療育の実践が見たくて、無理にお願いをして、四国まで足を伸ばし、トモニ療育センターの見学をさせていただくことにしたのでした。あれから十六年。
 私が先生のご逝去を知ったのは一月程前でした。今月号は、もう一度お会いしたかったという思いで特集を組みました。


2025.9.8 発行



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