毎日暑い日が続いています。この暑さで蝉が死んでしまうというようなことも聞こえてきましたが、その暑さを吹きとばすかのように、NHKのBSで冬山が放映されていました。
「グレイト ヒマラヤ トレイル」という番組でマナスルの朝陽を写そうという試みでした。
マナスルをめざす登山家は中島健郎。昨年の夏パキスタンのK2で亡くなった健郎の生前の姿が映し出されていました。まだ三十代。いたずらっ子の様などこか憎めない表情の彼をはじめてテレビで見たのは、いつだったか忘れてしまいましたが、仲間と共にヒマラヤの山々に挑む姿にいつしかファンになっていた私でした。
昔、「娘さん、よく聞けよ、山男にゃ惚れるなよ・・・・」という歌がありましたが、テレビ画面に映る山の美しさを、実際に目にしたら、とりこになり、又行きたくなるに違いないと山男の心情を思いやったものでした。
七月十二日(土)の映像では、マナスルの頂から夜が明け始めて真白の雪が次第にオレンジに変わっていき、やがて山全体が朝日に包まれていく情景を映し出していました。刻一刻と変わっていく荘厳な雪山の風景を、息をのんで見つめていましたが、日本でも富士山に多くの人が訪れて朝日を拝むといいます。遠い昔からエジプトでもインカでも太陽を神として崇めるのは私たち人間にとっては当然のことなのかもしれません。
雪山の映像を見ながら、ふっと自分の小ささに思いを馳せました。人はおごり、たかぶり、自分のことしか考えられなくなって、世界では戦争がつづき、人は飢え、子どもたちが犠牲になっていきます。若い頃は私にはまだまだ出来ることがあるはずだと信じて、突っ走ってきましたが、近頃は無力だなあと思うことが増えた気がしています。
私が出すこの「ひまわりからのメッセージ」は岐阜県障害福祉課の委託事業の一環として書いていますが、それを良く思わない人もまたいらっしゃるに違いありません。マナスルの光景を見ながら、遠い昔、スイスでマッターホルンの朝陽をながめた日のことを思い出し、高齢の今だからこそ自分の立場でなすべきことをやっていかなくてはと思いを新たにしました。
2025.7.14 発行