十二月四日〜十日まで人権週間で、あちこちで催しがあったようですが、私は某小学校からの依頼を受けて、子ども達に人権の話をすることになりました。以前、中学生や高校生を対象に話した時には障がいのある子ども達から私が学んだことを話したのでしたが、小学生にはどういう話をしようか迷いました。でも、一人ひとり、自分の命を大切にしてもらいたいと思い、成長の過程について話すことにしました。母胎にいた時、生まれた時、生まれてからもご両親がどの様に育ててくれたのかを話すことにしたのです。そして、その中で障がいのこと、いじめのこと、ゲーム依存のことなども言及することにしたのでした。
話を聞いた子ども達がどの様に感じてくれたのかは分かりませんが、大切にされてきた自分の命のことを知って、他の人の命も大切に思ってくれるといいなあと願っています。
その夜、帰宅して、私は自分のことを振り返っていました。高齢出産だった私の母は弛緩性出血で産後五十日以上も足腰が立たず、私は近所の方にもらい乳をして育ちました。しかも若い頃に患った病気のために私を背負うこともできず、昼間の私は、ばあやさんに育ててもらいました。だから、私にはおばあちゃん友達がたくさんできました。体が弱く、すぐに高熱を出す私には、近くのお医者様が「一人っ子はこれだから困るよ。」と言いながら夜中でも駆けつけて下さいましたし近所のご老人たちが「おもとの根は熱に良いらしいから・・・。」と、大雪の中を掘り出して下さったこともありました。考えてみると、本当に多くの方々に助けられて来たのだと思います。
朝、散歩をしていると、このお宅のおばあさんとは、この石垣に並んで坐って話をしたっけ、ここのおじいさんとは山羊の話をしたし、この家のおばあちゃんはお花が大好きで、いつもお花をくださった・・・等々幼い頃のことがよみがえって来ます。人は一人では生きて来られませんが、おそらく私ほど家族以外の人たちのお世話になってきた人間はいないのではないか、という気がしています。今こうして元気に仕事をしていられるのも、すでに鬼籍に入ってしまわれた方々のお蔭だと、改めて思ったことでした。
十二月になり、私の予定帳は新しくなります。ノートを替える時私がまっ先にすることは、今は亡き子たちの命日を書き入れることです。精一杯生きた子達を思い浮かべつつ、私も頑張ろうと思うのです。
年の瀬です。月日は否応なく過ぎて行きます。
2024.12.9 発行