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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

冬の薔薇

 立冬になり、朝の散歩にもジャンパーを着ないと寒いなあと感じるようになりました。
 近くのお宅には、垣根よりも背丈が伸びて紅いつぼみをつけた薔薇があります。あの固いつぼみは、冬の寒さの中で咲くのだろうかと思いながら歩いていると雀たちのにぎやかなさえずりが聞こえます。見ると葉が落ちて裸木になった低い木に雀たちが群がって囀っているのです。雀って絶滅危惧種になるのでは…という記事がふと頭をよぎりました。
 ところで私は、センターの仕事を始めてから、胸にブローチをつけることが多くなりました。昔はTシャツやトレーナーとジャージ姿で子ども達と走り回っていましたからブローチとは無縁でした。最近は動物や花、鳥などのブローチをつけて初対面の子ども達とのきっかけ作りにならないかという思いもあるのです。
 この日は、バラの花に出会ったこともあり、何となくバラのブローチをつけて訪問先の小学校に向かいました。その学校で授業に出られない女児に出会いました。彼女は「バラ…。」とつぶやきました。「そう、バラね。」と応えて少し話しかけると、国語が嫌で図工が好きとのことだったので「じゃあ、絵を描いてみたら…。」と無責任なことばを残して私は他の学級の参観に出かけたのでした。しばらくして参観を終えて戻ると、彼女はタブレットを見て、コスモスの絵を見事に書き終えていました。「すてきだね。」と声をかける私には答えずタブレットを操作しバラを探し始めたのです。中に一輪青いバラがあるのを見つけたので「青いバラって余り見たことないよね。」と話しかけても彼女は無言で線書きを始めました。私は時間がなかったので「今度来た時に見せてね。」と言うと、突然大きい声で「今、書く!」と言うのです。それでしばらく待つと青いバラの絵が仕上がりました。彼女はバラのブローチをしている初対面の私にプレゼントしようとして、頑張って描いてくれたのでした。
 この日一日、私はとても幸せな思いで、次の訪問先でも「見て!」とまるで自分が描いたかのように自慢して見せてきました。Rさん、とても素敵な絵をありがとう。ラミネートして大事にします。バラのブローチが紡いでくれた関わりに感謝し、国語も好きになれるといいなあ…と青いバラの絵にそんな願いも託したのでした。


2024.11.11 発行



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