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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

降り積む雪の中で

 また、新たな年を迎えました。一年が何と早く過ぎてしまうのかと思うのは高齢になったからかもしれませんが、一日一日を大切にしなければと気持ちを新たにしました。 

 ところで、久しぶりの大雪でしたね。

 昨夜、海津市でのケース検討会を終えて夜道を帰って来ましたが、行き交う車はほとんどなく、雪はどんどん降り積ってきます。ワイパーを最速にしても強風にあおられる雪で前方は見えず、道はセンターラインも見えません。仕方なく道の中央と思われる所を走って、やっと自宅に帰り着きました。幼い頃から雪の経験はしてきたはずでしたが、夜道の雪の怖さを改めて思い知りました。

 翌朝のことです。養老へと向かう途中、トラックが横転していました。やはり雪道で田圃との境がわからなくなられたのでしょう。運転手さんのご無事を祈りました。

 そして、ふっと見上げると電線にたくさんの烏が並んで止まっています。でも一羽だけ群れと離れて止まっています。寒いのに…と思った瞬間、目の前を一羽の烏が横切ろうとしました。「危いじゃないの。」と口に出してよく見ると雪をまとっています。ブルッと身震いすれば落ちるのに、雪の中を歩いてきたのでしょうか。一瞬のことでしたが心に残った光景でした。

 日頃、私は園や学校を訪問させていただくことが多いのですが、子どもたちの多くは「どこから来たの。」「何ていう名前。」等と聞いてきて、自分の身の回りのことも聞いてもらいたくて周りに集ってきます。自己紹介してくれたり、持ち物を自慢したり、「見て。見て。」「聞いて。聞いて。」と口口に話しかけてきます。その子達に対応しつつ私が気になるのは、皆と少し離れて私を見て佇んでいる子や私の視線から外れるようにしている子の姿です。近寄っては来ないけれども体全体で「私のことも見て。」「皆と話し終わったらぼくにも声をかけて。」と訴えているように感じます。自分をうまく表現できなくて困っている子どもたちの心の声を私はどれだけ聴きとっているのでしょうか。「こんなふうにすれば大丈夫なんだよ。」「こんなふうに言えばいいよ。」と伝えているのでしょうか。雪の中にポツンと居る烏の姿に、何故か寂しげな子の姿が重なりました。


2022.1.17 発行



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