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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

目は口ほどに……

 二週間ほど前のことです。ある講習会が開かれ、参加しました。受付の方が忙しそうだったので、少しお手伝いをさせていただきました。会場に来られる方に「受付はあちらになります。」とご案内をしていましたら、年配の方が私の旧姓を呼ばれるのです。「はい、そうですが、貴方は……。」とたずねてみると、何と中学と高校が一緒だった方でした。

 この前お会いしたのは、お子さんが生まれて南宮大社にお詣りに来ておられた時でしたから、もう四十年近くお目にかかっていないのです。お互いに歳月を重ねていますし、今はマスクをしていますから、何故、私だとわかったのか不思議に思い、たずねてみました。久しぶりに会う方々の多くは「長い髪と雰囲気」と言われることが多く、検査で出会った子どもたちの中には、右あごにあるイボを覚えていたと言う子もいます。でも、その方は「目です。」と言われたのです。この答えには驚きました。四十年も前の私の目と今の目に共通しているものは何だろう。自分の目は自分では見えませんが、昔から「目は口ほどに物を言う。」と言われますから、その方は、私の目から何かを感じとられていたのかもしれません。

 そんなことがあって、つい先日、私は清流プラザにいました。県の文芸祭の審査員が当たっていたのです。その日は県内の特別支援学校の生徒さんの作品展示もあり、その中になつかしい子の名前もあって、うれしく鑑賞しました。その時「中野先生!」と呼ぶ声がしました。「Hです。」と名乗ってくれたのは、以前二度程会って相談にのった生徒さんで職業訓練校に通っているとのことでした。「どうして分かったの。」とは聞きませんでしたが、彼の印象に残っていたのは果たして何だったのでしょう。私が訝しがっていると思ったのか、彼はマスクを外して顔を見せてくれました。

 秋も深まって来て、庭先の金木犀がやさしい香りを運んでくれています。柿も色づき、山茶花も咲きはじめています。コロナ禍で窮屈な生活を強いられてきましたが、宣言が解除されて、少しずつ日常が戻ってくるような気がします。このまま感染が拡大しませんように。子ども達の楽しい笑い声がとび交う学校生活が戻ってきますように。そしてマスクなしで素顔のままで人と関われる日々が一日でも早く訪れますようにと祈るばかりです。


2021.11.8 発行



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