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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

背高泡立草に寄せて

 先日、揖斐川の堤防を車で走りました。

 運転しながら横見をしては危いと思いましたが、余りにも秋の景色が美しくて見入ってしまいました。とうとうと流れる揖斐川の水の色と、堤防の穂すすきと、背高泡立草の黄の花と……秋の深まりを感じました。

 北アメリカ原産の背高泡立草は、キク科の多年草で、日本に入ってきた頃には、その名の通り高さが1.5メートルから2メートルもあって、アレルギーを引きおこすとも言われたものでした。でも今は、すっかり背が低くなっていて、自然に日本の風土にとけこんでしまったという気がします。

 ところで、子どもたちはどうでしょうか。人見知りを余りしない子どもたちの中には、まるで場所見知り、物見知りと言いたくなるような行動を示す子がいます。はじめての場所や、はじめて見る物に対して怖がったり泣いたりして不安を訴えてくることがあります。それは、ことばの通じない外国に一人ポツンと置かれた状態に等しいのだとよく言われます。どうしたらいいのか、これから何が起こるのか、見通しがもてない状況は、子どもたちならずとも不安に感じます。

 ことばをもたない泡立草は、環境の中にとけこんでいるのに、子どもたちは、ことばをもつ故に、いつまでも生きづらさをもっていくということでしょうか。「言えば分かる」「聞けばわかる」という先入観は、私たちの日常の中では当然のことですが、この社会にうまくとけこめない子どもたちや生きづらさをもつ人たちのことを、いつも心に留めていたいと思います。堤防を埋めつくすように咲く泡立草を見つつ、子どもたちのことを思っていました。


2012.11.13 発行



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