大垣地域ポータルサイト 西美濃


西美濃
トップ

ひまわりからのメッセージ

戻る
ひまわりからのメッセージ

心に残る風景

 俳優の火野正平さんが、視聴者からの手紙をもとにその人の心に残る風景を探して、自転車で旅する「こころ旅」という番組があります。ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 人は、それぞれの心の中に大切な思い出と共に、美しい風景を秘めているのでしょう。幼い日に見た海や友だちと訪れた場所など記憶をつかさどる海馬という脳の部分にきちんとしまわれているのです。

 私は大学を卒業すると同時に所沢市にある児童の入所施設に勤めました。日本で唯一の国立の施設で、アメリカの施設をモデルに作られたので、広い敷地には武蔵野の面影を残す雑木林が広がっていました。子どもたちは全国から集まってきており、お盆や正月に帰省できない子がたくさんいました。広い園内には自然がいっぱいで、子どもたちの手をつないで散歩によく行ったものです。夕方になると、雑木林のむこうに、まっかな夕日が沈みます。秋は疎林を通して見る夕日は美しいけれども寂しいものでした。親元をはなれて暮らす子どもたちの口に出せぬ思いが その光景と共にいつも私の心に甦ってくるのです。


 先日、ひまわり学園の卒園生と出会いました。彼は、「先生、キャンプ楽しかった。川で遊んだ。魚もつかまえたね。」と言うのです。「覚えてるの?」「ウン。また行きたいねえ。」と本当に楽しそうに笑いました。毎年行っていた“ひまわりキャンプ”が心に残っていることを知って私まで幸せな気持ちになりました。子どもたちの心の中に残ることは、ビデオやテレビではありません。体験の中で肌で感じ、見たことなのです。子どもたち一人ひとりの心の中に大切な風景を残してあげたい・・・・・・。そう思ったことでした。


2012.7.10 発行



ひまわりからのメッセージ