今年は寒さが続き、春の嵐にも驚かされましたが、ようやく大垣の桜が満開になりました。
春は別れと出会いの季節ですが、この時期になるとふと思い出す和歌があります。作者は忘れてしまいましたが・・・・。
・衣手の 飛騨は百重の 山のあなた 君もまた来じ 吾も行き得じ
(飛騨は多くの山が重なりあう遠い地ですから、
君が来ることも私が行くこともないでしょう)
返歌に
・君も来じ 吾も行き得じと 思へども またゆくりなく 会ふこともあらむ
(君も来ないだろう、私も行けないと思っていても
また思いがけず会うこともあるでしょう)
現代とちがって、昔の人の別れは一生会えないと思うような別れであったことでしょうが、偶然の思いがけない再会を願いながら、こんな和歌をやりとりしたのです。
ところで、私は四月、思いがけなく旧知の人に再会したのです。障がいをもつ子ども達をずっとかかわって来られた方で、異動で何十年ぶりかにお会いできたのです。きっと子ども達のことで相談にのっていただけるに違いないと、心強く本当にうれしく思いました。
その上、今日は、高校に進学した卒園児がたずねてきてくれました。人とかかわっていくことが苦手な彼は、私の問いにもことば少なに応えてくれるだけでしたが、新しい一歩を踏み出すのです。どんな人との出会いが待っているのでしょうか。「良かったね。」と言う私に、お母さんは、「これからまだまだです。」と言われました。親としての心配の種が尽きることはないでしょうが、でも、今日の歩みを踏み出した彼は、また一まわり大きく成長してくれることでしょう。
四月は、希望に満ちた月でもあります。
2012.4.10 発行
