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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

母からの手紙

 師走に入って、はや十日が過ぎました。「光陰矢のごとし」ということばを実感する日々です。
 土、日もなかなか休めませんが、頼まれていた原稿があって古い文箱を整理していたら、母からの手紙が見つかりました。四十年以上も前の手紙です。
 私が大学時代、京都で下宿生活を送っていた頃のこと、私の身を気遣う母の心情がつづられ、母の文字は晩年の字とちがって勢いがありました。
 現代のように一人一台の携帯電話など想像もできなかった時代で、一家に一台の電話さえも普及していませんでしたから、お互の消息は手紙という手段しかなかったのです。父や母は、一体何通の手紙を私に送ってくれたのか、少し暇ができたら、ゆっくり読み返してみようと思いました。そして、ハッとしました。私は娘たちにいつから手紙を書いていないのだろうか…?と。
 今は便利になりました。手紙なんか書かなくても、メールもあります。すぐに返事も返ってきます。声が聞きたければ電話をすれば良いのです。でも、娘たちは、私のように何十年も経って母親の文を読み返すことはないのでしょう。それはそれでいいと思いますが、親と同じ年令になってはじめて分かることもあるのではないかと思うのです。
 母の手紙を読み返しながら、六十歳を前に母はこんなことを考えていたのか…と今更ながらに思いを致したのです。そして、たまには娘たちに手紙を書いてみようかな…と思ったことでした。

 十二月になったのに、銀杏は、まだ葉をつけています。日の光を受けたいちょうの木は黄金色に輝いて、自然のもつ美しさに心洗われる気がします。
 今年の反省に立って、又、新たな課題を自分に課していこう…そんな年の瀬でもあります。


2011.12.13 発行



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