大垣地域ポータルサイト 西美濃


西美濃
トップ

ひまわりからのメッセージ

戻る
ひまわりからのメッセージ

白玉椿に寄せて

 わが家には椿の木がたくさんあります。

 亡き母が旅先で気に入った椿を見かけると「一芽ください。」とお願いしていただいて帰り、挿し芽したものです。今では大きくなって庭の場所を占め、少し困っているのですが、中に白い椿があります。

 私の家の近くにある南宮神社の神社史は古く神武天皇の東征のときに金山彦命が金鳶を輔けたことに発し崇神天皇のときに現在地に遷座されたと伝えられています。ご神木は白玉椿と呼ばれる白い椿で本殿の右側に植えられています。宮中で行われた豊明節会(とよのあかりのせちえ)の折には、南宮神社の巫女がこの椿の枝を持って都に上り、節会(新なめ祭の翌日)の庭で舞納めて献上したのだそうです。

 もちろん、わが家の白椿は別ものですが、私は勝手に白玉椿と呼んでいるのです。清楚で凛としたたたずまいを漂わせている白椿に対すると、こちらまで背筋を伸ばしたくなる様な不思議な思いが湧き上がってきます。

 この時期は中学校も高等学校も卒業式が終わり、小学校の卒業式も真近です。新しい生活に向けて心新たにしている子もいれば、まだまだ迷いの中に居る子もいるでしょう。私たちはどうしても過度に手を差しのべてしまいがちですが、見守ることも大事な支援だと私は思っています。子どもたちは、いつかは自分一人で生きていかなければなりませんが、そのためにどんな方法でどんな助けが必要なのか、一人ひとり異なるのは当然のことでしょう。ただ最近気になるのは、「見守り」の勘違いです。「子の言うなりに、子に決めさせています。」とおっしゃる家庭が増えてきているように思えることです。そして、「好きなことはやりますが嫌なことはやりません。」と言われると、ついつい「家庭のルールはありますか?」と聞きたくなってしまうのです。子どもの要求を全て受け入れることが親の愛情ではないと思うのですが?子どもの家来になることで日常生活は保たれるかもしれませんが、十年後、二十年後はどうなっているでしょうか。

 保護者の方に限らず私達は、凛と咲く白椿のように自分自身の生き方を子ども達に示していくしかないのでしょうね。


2024.3.11 発行



ひまわりからのメッセージ