大垣地域ポータルサイト 西美濃


西美濃
トップ

ひまわりからのメッセージ

戻る
ひまわりからのメッセージ

自然界の共存〜杜鵑草(ほととぎす)と瑠璃蛺蝶(るりたては)〜

 わが家の勝手口から駐車スペースに到るせまい場所に私は杜鵑草を植えています。地味な花で、好き嫌いをたずねられたら、おそらく大方の人は「余り…。」と口ごもられるのではないかと思います。

 9月の10日頃でしたが、葉の裏に一匹の黒い毛虫を見つけました。たしか一昨年もこの黒い毛虫が葉を喰い荒らしたことを思い出しました。毎日観察をしていると、毛虫の数は増えていき、杜鵑草の葉は無くなっていきます。毎年退治してしまおうと思いながらも、まあ、いいか…と私の相変わらずのいい加減さで見過ごして来たのですが、ふと、この毛虫は蝶になるのか蛾になるのか気になってしまいました。「もし蛾になるのだったら、つぶしちゃうからね。」と言いつつ、スマホに撮って調べてみることにしました。でも機械に弱い私のこと、中学二年生の孫の助力もあって、それは瑠璃蛺蝶(るりたては)という蝶の幼虫で杜鵑草を好んで食べるのだと分かったのです。「良かったね、私の身勝手さでつぶされずに済んで…。」と、一応毛虫たちには伝えておいたのでした。ところが10月に入って、全く姿が見えなくなりました。さなぎになるために、どこかに移動してしまったのかもしれません。

 一方、杜鵑草の方は、下の方の葉は食べられてしまって太い茎だけになってしまったのですが、上の方に伸びた細い茎から小さな葉が出てきて、その先にはかわいい莟が顔をのぞかせています。そういえば昨年も長い茎の先に伸びた細い茎と花を備前焼きや信楽焼の小さな一輪挿しに活けたんだったなあと思い出しました。

 毛虫たちは葉は食べてしまうのに花芽の部分はちゃんと残しておいてくれたのでした。もちろん、虫たちには、花芽は残しておいてあげようなどという思いは無いでしょうが、植物と虫たちの自然の中での共存を、何だか嬉しく思ったのでした。黒い翅の外縁に青い帯のある蝶が、きっとわが家を訪れてくれることと信じて、楽しみに待つことにいたします。それにしても、現代のぎずぎすした人間社会、生き難さを抱えた人達が増えている社会に在って、ちょっとした心づかいがあればもっと世の中は変わっていくのに……とも思ったことでした。


2023.10.12 発行



ひまわりからのメッセージ