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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

人生の宝もの

 先日、高校時代の同窓会がありました。ミニ同窓会と聞いていたので二十名程の出席かと思っていましたら、何と五十三名も集まり、そして七クラス中、物故者も分かっているだけで五十名をこえていると知らされました。

 私たちが高校へ入学した年に、校舎は藤江町から現在の中川町に移ったのですが、当時は駅から学校まで田畑が続いていて朝と夕方に近鉄バスが電車通学の生徒をピストン輸送していました。

 一日の授業が終わると掃除時間です。私は家庭科室の分担でしたが、掃除の終了時刻になると家庭科の先生が点検にいらっしゃって、「ここが拭けてない。やり直して!」と言われます。「そこは拭いた所ですが・・・。」と訴えても「でも、汚いでしょう。」と厳しい口調でおっしゃいます。もちろん、私たちは拭き直すのですが、そんなことが度重なると、生徒としては、通学バスに乗せないための意地悪なのではと勘繰りたくなったものです。当時、通学バスに乗り遅れると、一時間後の定期バスを待つか、駅まで歩いていくしかなかったからです。

 けれど、そんな時、助っ人が来てくれます。自転車通学の同級生が自転車に乗せてくれたのです。もちろん二人乗りは禁止ですが、先生たちは「バスに乗り遅れたんだな。」と、見て見ぬふりをして下さったのでしょう。古き佳き時代のことです。見通しの良い田んぼの中の野道を走ったことが昨日のことのように思い出されます。

 あえから六十年もの歳月が経ちましたが、私たちの関わりはずっと続いていて、私がNPOを立ち上げた時には、自転車に乗せてくれた友だちはもちろん、高校一年の時の友人たちが協力して支えてくれました。「貴女は自分がやりたいと思ったことを今までやって来たのだから死ぬまでずっとやっていってよ。」と友の一人は言います。「私たちは旅行に行ったりしてるけど、貴女は来られないでしょう?」と、もう一人の友が傍で私を誘ってくれます。「いつか一緒に行けるといいね。」と笑いながら、おそらくそんな日は来ないだろうと皆、思っているのです。常日頃会えなくても、支えてくれる友がいてくれるということは、本当に心強いことです。良き友をもつことは人生の宝と言ってもいいでしょう。

 今の子どもたちは、どうでしょう。人とかかわることが苦手な子も多いように思います。甘言にだまされずに生涯の友を見つけていってほしいと願わずにはいられません。庭先に紫陽花が咲いています。


2023.6.12 発行



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