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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

命の輝き

 朝、何気なくテレビをつけるとNHKBSでワイルドライフという番組をやっていました。取り上げられていたのは、モンゴルのアルタイ山脈に生息するユキヒョウの親子でした。私が見たのは番組の途中でしたが、監視カメラは崖の上で尾をピンと立てて怒っている母親の姿をとらえていました。崖の下にはヒョウの子が母の機嫌をとろうとしたのでしょう。母に見つからないように後方からよじ登ろうとしています。するとその時、母親はすごい勢いで崖をかけ下り、子を追い払ったのです。仕方なくヒョウの子はすごすごと崖を下りて行きました。

 実は、これはユキヒョウの子が母から独り立ちしていくための大切な儀式なのだそうです。

 生後一年半を過ぎると、ユキヒョウの子はこうして母親の元を離れて険しい岩山で生きていかねばなりません。子の自立のために母は子を追い払うのですが、しかし、実はその後もしばらくは母の縄張りの中で子は生活していきます。つまり母は、自分の縄張りの中で見守りながら子が獲物を捕る練習をさせるのです。

 監視カメラが映し出したユキヒョウの母と子の姿に、私は人の姿を重ねていました。いつまでも親に依存する子、そして子どものことが心配だから・・・と、いつまでも干渉したり手元に置いて養い続ける親と・・・厳しい自然界にあって生死を賭けて生き続けていかなければならない動物と違うのは当然ですが、私たちは、それが愛情だと信じて、もしかしたら子どもの自立を妨げているのかもしれません。「支援は引き算です。」ということばをもう一度かみしめたいものです。

 庭先では花韮が群生し、著莪もあちこちで咲いています。野山同様のわが家の庭土は、きっと華やかさを嫌って少し寂しげで地味な花を好んでいるのでしょう。花韮は別名「ベツレヘムの星」とも呼ばれているそうですが、もとは南米原産だというのに、どうしてアラブの名がついているのでしょう。しかも植えたこともないのに、いつ頃からわが家で咲くようになったのか今だに謎なのです。

 今年の朝ドラは牧野富太郎博士の生涯が描かれるとのことですから、雑草だと思っている小さな草花のいのちをもっと知ることができるかもしれません。それも私の楽しみです。


2023.4.10 発行



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