大垣地域ポータルサイト 西美濃


西美濃
トップ

ひまわりからのメッセージ

戻る
ひまわりからのメッセージ

想像すること 映像とことばと……

 先週末、「関ヶ原ナイト2022野外朗読音楽絵巻」に出かけました。イベントに参加するのは余り好きではない私ですが、主人がチケットを買ったからと誘ってくれたのでした。
 
 笹尾山を背景に舞台が設置され、高台院が日記を残していたという創作をもとに高台院役(朗読)に竹下景子さんが、家康と三成役にはオペラ歌手が配されていました。
 
 若き日、石田三成に傾倒していた私は、三成(治部)の居城佐和山や、ゆかりの地を訪ね歩いて様々なことを想像して楽しんだものです。関ヶ原にも何度足を運んだことでしょう。
 
 わが治部の陣趾に佇てば敵陣のあたり野焼きの煙立ち出づこの一首は当時の私の拙作ですが、関ヶ原駅を降りて、東首塚、笹尾山、島津の陣趾、林を抜けて宇喜多秀家、そして大谷吉継の墓前へというのが、私のコースでした。時は移り、笹尾山には柵が作られ、吉継の墓に行くには広い道路を迂回しなければならなくなりました。穂すすきの道を辿った昔の趣は、もうありません。

 そして今年、新築された歴史資料館では壁面いっぱいに歴史絵巻が映し出されていました。プロジェクション・マッピングというのだそうですが、画面を見上げながら、私は子ども達の感覚のことを考えていました。
 
 昔から感覚と言えば視・触・聴・味・嗅覚でしたが、子どもたちの発達の中で固有覚や前庭覚ということばが使われるようになり「感覚統合」の重要性が示唆されています。
 
 けれども、今の子どもたちは、どちらかというと視覚情報に偏っているような気がします。幼少期からスマホの画面やゲームなどに親しみ、体幹が育っていない子が多くなっているように思えます。しかも、視覚刺激にさらされ、目からの情報に頼っているにもかかららず、視覚機能に弱さがあったり、目と手の協応が上手くいかなくて学習に困難さを感じている子が多くなっているのは何故でしょう。
 
 プロジェクション・マッピングを漠然とながめながら、映像の世界の良さを訴えかけることの必然と、いや、ことばから紡ぎ出される想像の世界はもっともっと豊かなのにという思いとが私の中で複雑にからみあっていました。


2022.10.18 発行



ひまわりからのメッセージ