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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

春のプレゼント

 二、三日前、養老から安八町に向かって揖斐川の堤防を車で走っていましたら、菜の花が目に入りました。雪をかぶった伊吹山、そして遠くに白山、東には御嶽山、信州の山々まで霞んでいます。その時、中学校で習った短歌がふと思い出されました。


   遠江大河流るる国なかば菜の花咲きぬ富士を彼方に


 遠州、今の静岡の富士川でしょうか。作者は覚えていませんが、その情景を想像して富士山にあこがれたことを思い出したのです。あれから何十年経ったのだろうと遠き日を懐かしみ、春の息吹を感じつつ次の訪問地に着きました。

 安八町での学校訪問を終えて堤防下の道に出ると、かがみこんでおられる女性の姿が見えました。窓をあけて「何をしていらっしゃるのですか。土筆ですか。」と、声をかけてみました。その方は、「そう。土筆なんだけど、もう遅いくらい。頭の固いのがなくて、ほうけてるよ。降りて見てみたら……。」と言われます。幸い車の通りもなかったので、車を降りて近寄ってみました。つくしは堤防のあちこちにいっぱい伸びています。はしゃぐ私に、「何ならあげようか。主人も亡くなって私一人では食べきれないからね。」と言われます。つくしは大好物だけど摘む時間の余裕がなかった私には、ここ数年は縁のないものだったので、すっかり嬉しくなり、お言葉に甘えていただいて帰りました。

 コロナ禍で仕事以外の人との出会いが少なくなっている昨今ですが、見知らぬ方から大好物の土筆と温かい心をいただいて、ほっこりと満ち足りた一日を過ごしました。

 春は、別れと出会いが交錯する季節です。出会いがあれば必ず別れはあるものと思いつつも心は様々な思いに揺らぎ、平静さを欠くこともあるかもしれません。

 この一年、今までとは異なる学校生活を送った子どもたちが巣立っていきます。そして、又、新しい環境が子どもたちを待っています。園から小学校、小学校から中学校へという引き継ぎ会が続いていますが、その会は、学校に要望を出す会ではなく、家庭の役割を再度見直す機会でもあります。生きていく自立の力は生活の中にあるのです。子どもたちが、どうか幸せに心豊かに!!私の願いです。


2021.3.8 発行



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