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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

春は真近に

 コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言がまた1ヶ月延長されました。ひたひたと押し迫ってくる様な不安な状況下で私たちも子ども達も心をむしばまれて行く気がします。

 けれども春を待つ庭の草木や鳥のさえずりなどが明日への活力を与えてくれているようです。

 裏庭では白の佗助が咲き終わったと思っていたら、私の好きなピンクの佗助が咲きはじめました。淡いピンクの佗助は、五弁の花びらの中に濃いピンクがほんの少し混じっていて、何とも言えないやさしい色です。咲き方も山茶花のように花弁がパッと開くことはなく、少しうつむき加減に咲く姿がまた安らぎを与えてくれます。華やかな花が好きな方には物足りないでしょうが、佗助が茶花としても好まれるのもうなずけるように思います。

 佗助は椿の一種です。豊臣秀吉が朝鮮出兵をした文禄・慶長の役の際に、佗助という名の人が持ち帰ったので、その名になったとも伝えられているのですが、私はむしろ日本人の佗の心に通じる名なのではないかと勝手に解釈しています。

 私の家から徒歩で十分位の所に金山彦命を祠る南宮大社があります。実はそこにも長い歴史を持つ椿があります。ご神木の白玉椿です。奈良時代の頃より、新嘗祭(にいなめさい)の翌日に宮中で開かれた豊明の節会(とよのあかりのせちえ)には、南宮大社の白玉椿が献上されたとのことでした。『夫木和歌抄』には次のような和歌があります。

 美濃山の白玉椿いつよりか豊のあかりにあひはじめけむ

 花にもそれぞれの歴史があり、遠い昔から人々の心に安らぎを与えてきたのだろうと思うと、その花の命もいとおしいものに思えます。心にゆとりのない時こそ、道ばたの小さな草や、芽吹いてきた樹の芽にほんのちょっと目を移してみようと思っているのです。

 それにしてもコロナはいつまで続くのでしょう。不安や恐怖は私たちの心の中に沈殿していきそうですが、雪の舞う朝、風に向かって顔を上げて歩いてみましょう。コロナなんかに負けないように!!そうです。春はもう真近に来ています。心做しか日差しにも暖かさが感じられる今日この頃です。


2021.2.8 発行



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