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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

生きとし生けるもの

 四月の末に、わが家の北の屋敷が取り壊され、庭の大木も切り倒されて北側がとても明るくなりました。それに伴って、わが家にいくつかの変化が起こりました。二百坪を越す空き地には草がはびこり、水はけの悪い場所では蚊が生まれてきているようです。そして、もう一つ、いつもキッチンの窓にへばりついていた守宮が姿を消してしまったのです。

 私は、このところ五時に起き出して一時間ほど草取りをし、シャワーを浴びて仕事に向かう日々ですが、実に様々な草に出合います。雑草と一口に言えばそうなりますが、ハハコグサ、ウリクサ、イヌホオズキ、ツユクサ、カヤツリグサ、メヒシバ、エノコログサ等々、調べてみるとそれぞれに名があります。しかも草取りをすると、その草の根のはり方や種のつき方などがわかって、なかなか面白いものです。土地の状態によっても草のはえ方は違っていて、土の多い所では根を広く伸ばしているイヌホオズキが石塊の多い所では地中深く根を下ろしています。調べても名がわからない草の中に私を悩ませる草もあり、言ってみれば私と草のせめぎ合いといったところでしょうか。

 日々草々と戦いながら、子ども達のことを考えています。それぞれ違う両親から生まれた子ども達は、家庭という土壌で根をはり、園や学校で様々な栄養をもらって成長していくのでしょう。個と環境との相互作用が一人の人間を形づくっていくのだろうと思いながら、改めて家庭の大切さを考えたことでした。

 ところで一昨日、今まで姿を見せなかった守宮が姿を見せました。去年は小さいのが一匹加わって三匹で来ていたのに、お父さんらしい一匹だけです。窓の内側から見ていると足の動きがとてもかわいくて見とれてしまう私ですが「チビはどうしたの。」と語りかけてみました。もちろん通じるはずもありませんが驚いたことに翌日小さな守宮が窓に張り付いているではありませんか。「ああ、生きてたんだね。」と思わず又声をかけてしまいました。コロナ禍で窮屈な思いをしているためか、何だか旧知の友に出会えたような嬉しさでした。

 草々も守宮も私も確かにここに生きているのです。コロナ禍で大変な状況はつづいていますが、乗りきっていかなくてはと思ったことでした。


2020.9.14 発行



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