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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

自然体で生きること

 世は、コロナウイルスのニュースでもちきりです。

 突然の一斉休校、公的機関の閉鎖、中国や韓国からの入国規制、老人のデイサービス事業への休業要請……と、日常生活の中にしのび寄ってくる目に見えないものとの戦いが続いています。

 私は、何故か若い頃のことを思い出していました。

 あることがきっかけで、私は電車の吊り革や階段の手すりなどに全く触れることができなくなって、手洗いを繰り返したことがありました。強迫神経症の初期症状であったのかもしれません。結婚して長女を出産した時には、今で言う産後うつになって自宅から一歩も外に出られなくなりました。それは、肺結核で亡くなった父の死と大きく関係していましたが、そういう心の状態から脱するためには、自分自身の死に対する覚悟のようなものが必要であったと、今、思い返しています。

 けれども今も弱い人間である私は、この騒ぎの中で不整脈が頻繁におきるようになっています。不安やストレスの表われです。そして、いつどうなっても良いという覚悟は、私にはおそらくできないだろうと思っています。

 皆さんは、どの様に日常をお過ごしでしょうか。

 庭先に出てみると、白梅も紅梅も少し盛りを過ぎ、もくれんの芽は天をさして伸びはじめています。足元には濃い紫のすみれ、水色のイヌノフグリ、ふきの黄緑、そして、はこべは小さな花をさかせていす。そして、それらの草花の中でクリスマスローズがたくましく茎を伸ばしています。いつのまにか白の株と赤紫の株とが交配して、新種の花も増えて、あちこちに種がとんだのか二、三十株にもなっているのです。ウイルスに踊らされている人の世の様とは余りにも異なる木草の静かなたたずまいがそこには在ります。手を伸ばして、すみれの花を摘んでみたら、やさしい香りが指先から立ち上がってきました。

 私も自然の中の一つにすぎず、広大な宇宙から見れば、本当にちっぽけな、ちっぽけな一つの生命体でしかないのですよね。目に見えないものは恐ろしく、ウイルスへの恐怖は去りませんが、自然体でいこう……庭先に佇んでそんなことを思っています。

 遠くで鳥のさえずりも聞こえてくる土曜の午後です。


2020.3.9 発行



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