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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

レストランの光景

 つい先日、レストランで食事をしました。このところ忙しくて、昼食といえば車の中でおにぎりを頬ばったり、サンドイッチを食べたりしていましたので、本当に久しぶりにゆっくりと椅子に座って食事をしました。

 見ると、周りは小さい子を連れた母と祖母らしき人が何組かおられました。そうか、世の若いお母さんたちは、こうしてランチをとっておられるのだなあと、ながめていたのですが、妙なことに気づきました。子どもたちの声が聞こえてこないし、お母さんたちが子どもに話しかける声も余り聞こえません。何と大人しい子だろうというよりも、会話のないことが気になったのです。そのうち、子どもの一人がトコトコと歩いて、他のお客さんの近くまでやってきましたが、お母さんは迎えに来ません。店の人が子どもを見ていてくれるように保護者に伝えると、祖母らしい人が連れ戻しましたが、その時もことばのやりとりは聞こえませんでした。

 この光景をどう見るのか、幸せな日常ととらえるのか、あるいは……?

 店を出るとき、バイバイと手を振る私に手を振り返してくれた女の子、そして前述の男の子は、キョトンと私を見つめているだけでした。

 親と子ということを、最近特に考えさせられています。ことばのキャッチボールが少なくなって、子どもの表現力の弱さが気になるのは、私だけなのでしょうか……。

 その夜、帰宅した私は庭の金木犀の香りにふっと気づきました。季節の変化をせめて五感で感じ取っていたいと願いつつ、近頃は、自分の感性の鈍さも思い知らされています。虫の音も聞こえていますのに…。


2013.10.8 発行



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