大垣地域ポータルサイト 西美濃


西美濃
トップ

ひまわりからのメッセージ

戻る
ひまわりからのメッセージ

お盆に思い出すこと

 お盆が近づくと、誰もが自分が大切に思っていた人のこと、亡くなってしまった人のことを思い出しますね。皆さんは誰のことを思い出されますか?

 私はひまわり学園に赴任してから、二十六名の子どもたちと永遠の別れをしました。(もちろん、この学園以外の所でかかわった子どもたちも含めると、もっと多いのですが……)

 その中の一人、Yくんのことを思い出すと、ある小学校の校長先生のことを感謝の気持ちと共に思い出すのです。

 ある時、脳腫瘍ができて、手術をした男の子が歩くことも話すこともできなくなったので、学園でみてほしいという相談を受けました。おそらく手術後のICUシンドロームだったのでしょう。学園にしばらく通園している間に元の状態に戻ったのですが、唯一の心配は、腫瘍は取りきれておらず、ぶつかったりころんだりすることで死に直面することもあるということでした。

 就学を前に幼稚園では責任がとれないと判断され通園を見合わすことになりました、では学校は…という時のこと、突然K校長先生が来園されました。私は、「何かあったら責任問題になると思われるかもしれませんが、この子の命ある限り輝かしめることを考えていただけませんか。」というようなことを申し上げると、「分かりました…。」と一言おっしゃって帰られ、通常学級のお友だちと学ぶ道をつけて下さったのでした。

 現在のように特別支援教育が叫ばれるよりもずっと以前のことです。Yくんは二年後に短い生涯を終えましたが、私は今でもYくんの思い出とともに、K先生のことを思い出すのです。「責任」を一言ももち出さずに一人の命を大切に考えて下さったK先生のことを……。


2013.8.20 発行



ひまわりからのメッセージ