先日、久しぶりにコーヒーを飲みに行きました。昔はよく行ったお店でしたが、ここ何年もの間 私は、喫茶店でゆっくりとコーヒーをいただくという生活とは程遠い日々を送っていました。
お店の女主人は、外で花を植えておられるところでしたが、私の顔を見て「二十年ぶりですね。」と、おっしゃるのです。「そんなになりますか…。」「ええ、本当にお久しぶりです。今でも、ひまわり学園に?」とたずねられて、私は驚きました。覚えていて下さったことを嬉しく思いました。しばらく外で、植えられている萩や紫陽花、珍しい土佐水木などの木々について立ち話をし、店内に入ると、一輪ざしの花びんに どくだみの花が生けてありました。どくだみは毒を矯める、止めるというところからつけられた名だということですが、店内の一隅におかれた花は凛とした存在感がありました。
実は、職員室の隣室に一枚の絵がかけてあります。星野富弘さんのどくだみの花の絵で、そこには、次のようなことばが添えられています。
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お前を大切に摘んでいく人がいた
臭いといわれ
嫌われ者のお前だったけれど
道の隅で歩く人の足許を見上げ
ひっそりと生きてきた
いつか、お前を必要とする人が
現れるのを待っていたかのように
おまえの花 白い十字架に似ていた。
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私が園長になった年に掲げた額ですから、色あせて もう外して下さってもいいのに、きっと現園長は私を気遣って、外さずにいて下さるのでしょう。
一日に一度、その額を見上げ、どんな人でも社会の中で何かの役に立って生きていると思うのです。自分を必要としてくれる人がいると思うことは、子どもたちが自分を大切にすることにつながっていくのではないでしょうか。
2013.6.11 発行