珍しく二週つづけて土曜日を自宅で過ごしました。そして「旅のチカラ」という番組を見ました。(再放送)
一週目はピアニストの舘野泉さん、次の週はバレエダンサーの首藤康之さん。
舘野さんは、以前、音楽の指導をしたセブ島を十二年ぶりに訪れ、立派に成長した青年たちと再会を果たします。脳梗塞で右手の自由を失ったピアニストの舘野さんは、倒れて二年後に、左手の演奏曲に出会い、「両手でも、指三本でも演奏するということに変わりはないのだ。」と、以後は「左手のピアニスト」として活動されています。
十二年ぶりに訪れたセブ島のピアノは塩風のために弦はさびついていましたが、その音は、とても深く、あたたかく舘野さんが「気持ちをこめて弾けば応えてくれます。」とおっしゃったことばが心に残りました。
首藤さんはヨーロッパで活躍するバレエダンサーですが、西洋バレエとは全く異なるバリの舞踏を学ぼうと、バリ島を訪れます。目の動き、手足や体の動きなど全く今までとは異なる踊りを現地の舞踏家に習うのですが、「かたち」から入っても、どうもうまくいきません。そんな時、師匠は首藤さんに隣村の祭りを見に行くように勧めます、ガムランの音楽に合わせて踊る村人の舞は、自然に感謝し、神々に感謝する自然と一体になった舞でした。それを見つめる首藤さんの表情の中に変化が見られ、「何か」をつかみ取られたことを感じさせられ、私まで感動したのでした。
子どもたちとはじめて出会った時、その表情や行動の中から伝わってくるものがある。決して目に見えないのであるが心の琴線に触れる何かがある。ことばでは上手く表現できないが、感じ取る力を無くしたくないな…と、いつも思うのです。
2011.7.12 発行