庭先の紫陽花が少しずつ色を重ねてきています。一足先に咲き始めたカシワバアジサイは下からせりあがるように花をつけ、木々の下陰で白を際立たせています。紫陽花は雨に似合う花だとつくづく思います。うっとうしく感じる梅雨の季節に、ふと心安らぐ思いにさせてくれる花ですね。
私たちが日ごろ紫陽花と言っているのは青やピンク、紫など色を変えていきますが、原種はガクアジサイなのだそうです。「アジサイ」の学名は「オタクサ」と言い、かの有名なシーボルトが日本人妻の名をとって名付けたとも言われています。「おたきさん」ってどんな女性だったのかと想像してみるのも悪くありませんね。
ところで、園長を退いて二か月が経ち、昨年度に増して忙しく動き回る生活になりました。保育園や幼稚園、学校などに伺うことも多くなり、「乳幼児期から途切れのない支援を!」という思いは益々強くなっています。けれども、みんなが真剣に子どもたちのことを考え、支えていかないと・・・という思いが、時としてお母さんたちを苦しめているのではないかと反省することも多くなりました。
子どもたちを育てていく時、私たち大人の根底になければならないのは、子どもたちに寄り添う心です。寄り添う心がなければ何も始まりません。けれど「寄り添う」ということは「何をしても良いのだ。自分の思い通りに何をしても許されるのだ」という学習をさせることではありません。子どもの行動の裏にある「子どもの気持ち」を知った上で、社会のルールを教えていくことが大切です。幼い時からごっこ遊びや模倣が苦手だという子どもたちは、生活の中で自然に覚えていくということは難しいでしょう。「だめ!」と叱るよりも「〜すればいいよ。」と教えていくのであって、小さいから何でも許して子どもの言いなりになっていったのでは二次障害につながりかねません。「自分自身の心に折り合いをつける」大切さを忘れないようにしたいですね。
私は雨に咲く紫陽花のようにはなれないなあ・・・と思いつつ、年を追うごとに過激になっていく自分を恥じています。
2011.6.14 発行