連休の3日間、大阪まで研修に出掛けました。この齢になってはじめて聴くことも多くあり、昔習ったことを復習させていただくこともあって、結構楽しい時間を過ごすことが出来ました。
私にとっては、目的の研修以外にも途中の車窓から眺める風景に心安らぐ時間を持てることが、大切なことです。
岐阜県から滋賀県にはいると、目につくのは紅殻が塗られた家々の柱です。伊吹山の近くには酸化鉄が多く産出し、遠く壬申の乱に岐阜と滋賀の県境に史跡が多く残るのも、1つには武器となる酸化鉄の入手が容易であったからだと聞いたことがあります。山々に目を移すと、山腹には萌葱色の木々の間に白い花が咲いています。季節が春から夏に移ろうとしていることを感じながら車窓から眺めていると、水田が広がってきます。以前に見た時は枯れ草が続いていたのに、いつの間にか冬が去り、桜が咲き、葉桜となって、田植えの季節が近づいている・・・。何とゆとりのない日々を送ってきたことか・・・と今更ながら思い知らされたことでした。
車中、1組の親子に出会いました。どこかに遊びに行くのでしょう。良いなあと思って見ていると、座席に座った途端にお父さんもお母さんも携帯電話を取り出してメールをはじめました。お子さんがお母さんに「ねえ・・・。」と話しかけると、お母さんはお子さんの方を全く見ず、携帯画面に目を向けたまま「なに?!」と面倒くさそうに応えました。それきり親子の会話はなく、時間は過ぎていきました。この親子は日常もこんな感じなのだろうか?この子は大きくなってどんな子に成長していくのだろうか?私は1,2年生位に見えるその子を抱きしめてあげたい衝動に駆られました。
親と子の絆は、親と子が向き合い、気持ちを共感し合う中で作られていくものではないのだろうか・・・・。いろいろな意味で考えさせられた車中でした。
2011.5.10 発行