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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

残しゆくことば

 私が学園便り「ひまわり」に文章を書くのはこの371号が最後になりました。
 「ひまわり」の発刊は1980年ですから、実に31年間、毎月書きつづけてきたことになります。その間、どれだけお母さんたちの参考になったのかは不明ですが、時々「全部つづってあります」などというOBのお母さんに出会うこともあって、若いころに何を偉そうに書いていたのだろうかと冷や汗が出ることもあります。
 さて、この何十年もの間、私の療育の原点となったのは、「共感」ということばでした。以前にも書いたことがあると思いますが、滋賀県の近江学園の園長であった今は亡き糸賀一雄先生に学んだことでしたが、子ども達に「共感のことばをかける」事の難しさは、ずっと私を苦しめ続けました。そして、共感のことばに続けて、子ども達に教え諭すことばをどのように伝えたらいいのか・・・・ということも非常に難しいことでした。受容、寄り添い、共感はいずれも私達が子どもに合わせていくことを要求されることですが、それは決して『あなたはあなたの好き勝手に何をしていてもいいのよ』という「完全受容」ではないのです。「あなたの気持ちは分かっているのよ」と子ども達の気持ちに寄り添った上で、社会の一員として駄目なことは駄目であると教えていくことが私たち大人の大切な役目であると思うのです。子ども達は自分を受入れ、共感してくれる大人には必ず心を開いてくれるでしょう。そして、信頼できる人の言うことばは受け入れていくことができると思います。ただ甘いだけの完全受容の大人、叱るだけの大人も子どもたちにとっては信頼に値しないのではないでしょうか?
 私は引き続き学園内に置かれている「西濃圏域発達障がい療育支援センター(通称:発達支援センター・ひまわり)」の専門支援員としての仕事を続けていきます。第二火曜日の午前中にはセンター親の会を開いてお母さん方の相談も受け付けていきます。悩んだ時には一人で苦しまずにぜひ相談に来て下さい。
 では、子ども達の幸せを祈りつつ31年間の筆を置きます。

2011.3.15 発行



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