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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

晩秋の一日

 11月の末の土曜日、私は大阪教育大学の構内を訪ねた。ある資格を取ろうと思い立ち、二次の口述試験のために・・・・である。
 校門から3回も急斜面のエスカレーターを乗り継ぎ、やっと校舎の並ぶ場所に出ると、落ち葉が風に舞っていた。枝から離れて落ちる葉がカサコソと音を立て、私は久しぶりにゆったりとした時間の流れの中に身を置き、ここへ来た目的も忘れて、今日はこれで満足だと思った。
 人間の認知能力には二つの知能があるという。一つは流動性知能と言って新しいことを学び、覚えていく力であり、ピークは20歳くらいで成人前期から低下していくという。もう一つは結晶性知能といって習得されたもの、言いかえれば経験の積み上げともいえるもので成人後期まで伸び続けていくらしいが、そのピークはやはり60歳代であるらしい。
 以前は発達と言えば乳幼児期から青年期位までとしていたが、昨今は「生涯発達心理学」なるとらえの中にある。さすれば人生、そう捨てたものではないではないか。長年生きてきた者にはそれなりの積み上げがあるし、低下するといえども無にはならないであろう。もちろん、乳幼児期の可能性、可塑性は言うまでもないことである。
 人気の少ない大学構内のベンチに座って、枯れ葉の舞う音を聞きながら、誰にでも可能性はあるはずだと思い、学園の子ども達の未来を思い、そして自身のこれからについても漠然と考えたことであった。

2010.11.30 発行



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