2010年9月6日の朝日新聞夕刊に、東京大学に発達障害の学生の支援室を開設し、専門スタッフを配置するという記事が載った。東京大学では、年間15名ほどの発達障害の学生が入学するようである。有名大学に発達障害の学生がいても何ら不思議はないのであるが、おそらく一般の方々にとっては驚きだったのではないだろうか。
発達障がいは、知能の高さや体の問題ではないのだということを、未だに理解していない保育者や教育関係者も多いようで、「○くんは集団から外れるけれど、知能が高いから問題ありません。」と言う保育者にもたびたび出会う。実は子ども自身が困っていることが多く、どのように友達と交わっていったらいいのか、どのように集団活動に参加すればいいのか分からずにいるのであるが、「知能が高いから・・・」と済まされてしまうと、保護者の方もそれでよかったと考えてしまうところに発達障害の難しさがあるのだと思う。専門家は発達障害の子ども達にとっての自由保育の危うさを訴えているのだが、まだまだ「子どもの興味に合わせていくだけ」という園も多いと聞く。
幼児期に子どもは遊びの中で育っていく。順番を待つ、玩具の貸し借りをする、ルールのある遊びをする、競争などを通して子どもたちは社会性を身につけていくのであるが、それらの事が自然に身についていかない子ども達がいるのだということを、私たちはもっと知るべきであろうと思う。どの場面でどう言ったらいいのか、相手が言うことばにどのように対応していけばいいのか、子どもたちは困ってしまっているのである。だから自分の要求だけを通そうとし、トラブルになり、パニックを起こせば自分の思い通りになることを学ぶことになる。全ては誤学習の結果なのであるが、幼児期の誤学習のつけは小学校や中学校の二次障がいに繋がっていくことも多いのである。
この記事を読んで、幼児期からの支援の大切さを改めて思ったことである。
2010.10.1 発行