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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

痛みを持って・・・

 先日、テレビで「帰國」というドラマを見た。第二次世界大戦で召集され、南方で戦死した人々が英霊となって現在の日本に帰ってくるというドラマである。「お国のために」と信じて戦死していった人達が六十余年を経て帰国し、豊かになった現在を見た時にどう思ったのか・・・なかなか考えさせられるドラマだった。
 私も戦後生まれだが「昔は貧しくも幸せであり、便利ではなかったが心の豊かさがあった」とドラマは伝える。私はドラマの中でビートたけし演ずる兵士が今は立派になっている妹の子(石坂浩二が演じた)をなぐりつける場面が心に残った。妹は子どものために働きつづけ、子どもは地位も名誉も手に入れるが、その母親を施設に入れたままで、亡くなった時にも自分は行こうとせず、秘書をさし向ける。それを見ていた英霊のビートたけしは立派になっている甥をなぐって「痛いだろう。俺も痛い。だが殴る方も痛みをもって殴るのだ・・・。」と言うのである。甥の生き方をただし、甥自身に反省を促す愛情がその「殴る」行為の根底にあるのである。
 お母さんたちも子どもに「ダメ!」と、怒っていらっしゃることがある。しかし、本当に、自分にも痛みをもって、それでも子どもを叱ることのできる人は何人おられるだろうか。それは私にも言えることだが「怒る」ことと「叱る」ことは当然ちがうし、又、相手と向き合い、自分の心に同様の痛みをもって相手を殴るなどということは、出来そうもない。虐待が多くなっている現実の怖さにも通ずるものがあるのだろう。
 「ダメと何回言っても聞いてくれないんです。」と言う方もいれば、「叱って育てることはいけないと思うんです。」と言う方もある。善悪を教えていくのは大人の仕事だと私は思っているのだが、叱り方、褒め方、育て方までマニュアルが必要になっていくのだろうか?何よりも時代と共に、人と人の関係もだんだん浅くなっていくのだろうかと不安を感じるのである・・・。

2010.9.5 発行



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