12月13日、私的なことであるが次女に長男が誕生した。分娩室から「おめでとうございます!」という看護婦さんたちの声が確かに聞こえてきたのに、いつまでたっても産声が聞こえてこない。濁った羊水を飲んで、お医者様に吸引していただいて、か細い泣き声が聞こえてきたのはそれからしばらく経ってからであった。酸素を与えられて翌朝には元気になったものの、夜になって救急車でNICUに搬送された。新生児を運ぶ救急車には小児科医が付き添われることも知らず、実際にNICUに入ったこともなかった私にとっては全てが驚きであった。現在、幸いにも快復に向かっているが、小さな命の誕生以来、家族は大変であった。今学園に通園しているお子さんの中には、NICUに長く入院していた子も多く、ご家族は日々無事を祈りつつ、お子さんを見守り続けてこられたに違いないと、その心中を思わずにはいられない。
孫の小さな命を見つめながら、逝ってしまった子どもたちのことに思いが及んだ。幼くして逝った子、10歳になっていた子、高校生だった子・・・・・。この仕事で係わった子どもたちで亡くなった子は30名にもなる。子どもたち一人一人がその人生を精一杯生きたことを思い、その命に関わった多くの人たちを思った。「この世に命が誕生するということは大変なことなのですね。」とは、出産に立ち会った婿の弁であるが、大きくなるまでには更に多くの人の助けが必要であり、支えが必要である。
命の大切さを言うのは容易いが、実際には子どもの虐待や高齢者の介護の問題など命の軽視が進んでいるこの社会。命というものを改めて考えさせられた孫の誕生であった。
2009.12.14 発行