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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

揺るぎない信念と母の愛

 8月末に岐阜県自閉症協会主催の講演会に講師として来られた河島淳子先生が開いておられる「トモニ療育センター」を四国の愛媛に訪ねました。小児科医であった先生は、3人目の我が子が他の子と違うことをいち早く見つけられ、医師を辞めて我が子の育児に専念されました。そして現在はトモニ療育センターで自閉症の子ども達の療育をなさっています。
 先生は、将来子ども達が社会の中で生きていける、自立した人間に育てることを目指しておられます。「自閉症の子は、興味のあることや自分の好きなことはやるけれど嫌なことはやらない子が多いのです。けれど、嫌なことはやらなくてもいいというように育ててしまったら、その子は社会の中で生きていけますか?嫌なことは大声をあげたり暴れたりして、そうすれば許してもらえるというように学んでしまったらどうなりますか?」と、笑顔の先生が目だけは真剣にまっすぐに私の目を見て問いかけられました。
 トモニ療育センターに通う子ども達には毎日のマラソンが課されます。療育の初めと終わりに挨拶をすることは当然ですし、遊びではなく課題が課されます。歩けるようになったら甘えておんぶや抱っこはしない、食事は椅子に座って食べる、立ち歩いたら食べさせない・・・自閉症の子ども達が一度学んでしまうと修正がききにくいことを知っていらっしゃる先生のことばを厳しいと思う方もいるでしょう。しかし、穏やかに生きていらっしゃる息子さんを目の前にした時、母の揺るぎない信念と愛、そして家族の支えの大きさを思いました。同時に「寄り添い」や「好きなことをやらせればいい」ということの危うさも・・・・・。
 河嶋先生の息子さんは、現在、洋裁をし、スーツもシャツも製図から縫製、ボタンホールまでご自分でされます。それはそれは見事な出来栄えです。トモニ療育センターの教材づくりにも協力し、客として私達にはコーヒーを淹れてくださいました。
 相手のことを考える、相手に合わせることの苦手な子ども達をどのように育てていくのか、実に多くのことを考えさせられた愛媛での2日間でした。

2009.9.30 発行



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