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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

春の陽射しの中で 〜金柑と小鳥と〜

 我が家は今、柑橘類が鈴生りです。雪で枝が折れたにもかかわらず、八朔、夏蜜柑、金柑…と、今年は実が多く収穫しない私に代わって樹の方が「もう実ったよ、食べて欲しいなあ。」と言わんばかりに実を落としてくれています。

 夏蜜柑はすっぱいので貰い手がなく、金柑は地面に落ちてどれも潰れているありさまです。八朔はというと、屋根にまで届いて、おまけに隣家の方に生い茂っているので、とうとう枝を伐り落とすことになりました。

 そんな我が家なのですが、先日はとても楽しい光景に出会しました。

 忘れものをしてしまったので、お昼頃に自宅に戻りました。すると駐車場前の道に鳥がいます。すずめより大きく、からす程大きくない鳥です。鳥の名前は分かりませんが、遠くから見ると、何か黄色いもので、遊んでいるように見えます。車で少し近づいてみましたが、逃げ去る気配はありません。よく見ると、黄色いものは金柑です。鳥が一口ついばむと金柑はボールのように飛んでしまいます。すると鳥は金柑を追いかけて行って、また一口つつきます。金柑は飛び、鳥はそれを追いかけて……ということを繰り返しているのでした。まるで幼子が一人でボールあそびをしているかの様で、余りのかわいさにしばらく見入ってしまいました。何だか、私まで楽しくなってしまってずっと見ていたかったのですが、仕事に行かなくちゃと車を前進させた途端に鳥は飛び去り、あとには皮の部分が半分位になった金柑がとり残されていました。私の目には遊んでいるように見えたのですが、金柑の皮を啄んでいただけだったのでしょうか。でも私は、ふと母鳥になって一緒に金柑を飛ばして遊んだら楽しいだろうなと思ったことでした。

 そういえば、子どもたちの遊びは近年ずいぶん変わってきました。遊びにもいくつかの段階があり、母子の関係性からはじまって、ことばや、社会性の発達に欠かせないものですが、私たちの日常は時間に追われてしまって子どもたちとの時間がおざなりになってはいないかと反省させられます。

 でもこの日は忘れものをしたお蔭で鳥とのひとときを共有でき、ほっこりと豊かな時を過ごすことができた幸せな一日でした。


2022.3.14 発行



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