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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

鳥たちのことば

 先日、偶然「ワイルドライフ」という番組を観ていたら、鳥のことばを研究している方のことを紹介していました。その方は、シジュウガラ科の四十雀、山雀、小雀などを軽井沢で観察を続け、鳥の啼き声を二百種以上収録し、周囲の状況と合わせて分析した結果、天敵に対しては文章をあやつって危険を知らせていることが分かったということでした。

 冬になると、我家には鵯(ひよどり)がやって来て、かん高い声で仲間を呼んでいるので、鳥には鳥のことばが在ると常々思っていましたので、番組の内容に納得しつつ見入っていました。

 私が知っている鳥といったら、烏に鳩、雀、鶯、雲雀くらいのものですから、もちろんシジュウガラ科の鳥たちの啼き声なんて分かりません。でも、その方によれば「集まれ」の時は「ディーディーディー」、へびが来た時は「ジェージェージェー」、鷹が来た時には、鷹には聞こえない周波数の声で「ヒーヒーヒー」と啼いて、仲間に危険を知らせるのだそうです。面白かったのは、百舌(モズ)の剝製を置いたところ、「ピーピッ、ヂヂヂヂ」と啼き、「警戒しながら集まれ!」と知らせたというのです。鳥に鳥のことばがあると思うと、今も家の周りでさえずっている小鳥たちが仲間と何を話しているのだろう……と、何となく耳をそばだてたくなります。

 ところで、人には、人のことばがあります。マスク生活が普通になってしまった今、今までは目差や表情や体の動きなどの言葉以外の情報も加えて相手と 理解し合えていたことが難しくなってしまいました。マスク生活になってから、私は今まで以上に気を使うようになりました。特に子どもたちと話す時はには、聞きちがいをさせないように、マスクの中でも大きく口をあけるようにしていますが、それでも「エッ、今、何て言ったの。」と言われる始末です。難しいですね。

 その上、交互のやりとりとしての会話が成立しないことも多くなりました。一方的に話し続ける子や不安な目差を向けて黙り込んでしまう子など、コロナ禍の子ども達の心の動きに胸が痛くなります。早くマスクなしの生活に戻れるといいなと思っています。

 庭の柿が今年は枝もたわわに実っています。そのうちに鵯が仲間を呼ぶ声がひびいてくることでしょう。深まりゆく秋です。


2021.10.18 発行



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