このところ、日本はずっと災害に見舞われています。
台風15号でも大変な被害にあわれた方々も多かったのに、今回の19号台風も関東から東北にかけて甚大な被害をもたらしました。
私たちは、テレビを通して、その大変な様子を観て心を痛めることしかできませんが、被災地の方々は、季節が冬に向かうというのに、今後、どうされるのでしょう。泥に埋まった家々や家具を見ると、その家庭の幸せであっただろう生活が想像され、自分の身に置きかえて、本当に切ない気持ちになります。
そして、私は災害がおきるたびに、環境の変化にうまく適応できない子どもたちや、ご家族は、どうしていらっしゃるのだろうかと思います。東日本大震災の時も、避難所に入ることができずに、車の中で過ごさねばならなかった子どもたちも多くいたと聞きます。今回はどうなのでしょうか。
お年をめされた方々が多く亡くなられたという報道もありますから、避難所生活でも、さぞかし不安な日々をお過ごしのことでしょう。そんな折、ホームレスの方を避難所内には入れないという自治体のニュースがあり、心を凍らせました。「ホームレスは人間じゃないのか。」という新聞の記事もありましたが私たちは知らず知らずのうちに傲慢になってしまって、自分のこと、自分の都合だけしか考えられなくなっているのでしょう。行政も事なかれ主義になり、極力、責任回避の方向に流れてしまっているのかもしれません。
今日も、また雨です。結構強く降っています。
色々なことを考えていたら心が落ち着かず、玄関を開けて一歩外に出ました。少し小止みになった雨の中から金木犀の香が漂って来ました。我が家には、銀木犀もあって、金木犀よりもやわらかなやさしい香りを寄せてくれたものでしたが、いつの間にか絶えてしまって、今は、もうその香りを楽しむことはできなくなりました。でも、金木犀の香にひたりながら、被災地の方々が喪失感や絶望感の中で、ほっと心安らぐ刻があったらいいなあと思いました。
ボランティアにかけつけることもできないけれども、一日でも早い復興を……と、ただただ祈るしかない私です。
2019.10.21 発行
