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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

桜の老樹の下で 〜別れ、そして新しい出発に際して〜

 この春、私は、ひまわり学園を卒業(?)しました。

 実は、ひまわり学園長を退いた五年前に、すでにひまわり学園とは一線を画していましたが、いよいよ通い慣れた園舎ともお別れすることになったのです。

 昨年の春、学園の桜の樹の下で、こんな歌を詠みました。

  強風に散らふ花片顔上げてこのひととせと心を決むる
  来る年の桜は吾のものならずひとり老樹と今朝を対き合ふ
  人慈しむ心あるなし原点の福祉の姿勢をわが胸内に

 私が大好きだった学園の老樹は、ソメイヨシノではなく、山桜に属する種でしょう。その樹は、今年の花を例年よりも少ないながらも、私に見せてくれました。何十年もの間、共に在った桜です。ざらざらした木肌に触れ、その温みを感じ、いのちを大切にすることを教え、見守ってくれた樹です。これからも子どもたちのことを見守っていってくれることでしょう。

 さて、四月一日からは、特定非営利活動法人(NPO)ひまわりの花の本格的なスタートです。県の委託事業である西濃圏域発達障がい療育地域支援センターの発達障がい専門支援員の仕事はそのまま引き継いでいきますし、NPOひまわりの花の活動に協力していただける方もあり、職員として週に数日来ていただくことになった高田美恵子先生とも協力し合って、今まで以上に支援の輪を広げていきたいと思っています。

 長い経験から、危惧していることがあります。一つには、子どもと遊べる大人が少なくなったことです。幼い子は、遊びが生活そのもので、遊びを通して体も、思考力も、想像力も、人との関わり方や集団ルールも身につけていきます。けれど母と子(祖母と孫でもいいでしょうが)が共感しつつ遊ぶことが少なくなってきています。二つ目は、人と人の関わりの希薄さです。会話の減少は、子どもたちから語い数の獲得を遅らせ、表現する力を減少させています。暴言、暴力は、表現できない子どもたちのSOSに他ならないと私は思っています。まさに子どもの発達の危機です。

 これから、どんな世の中になっていくのでしょうか……。ただ、言えることは、私達大人がしっかりすべきということでしょう。


2016.4.11 発行



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