大垣地域ポータルサイト 西美濃


西美濃
トップ

西美濃な人

戻る
西美濃な人

すべての人が幸せになることを願った手作り絵本を発行する、後藤 政幸さん(53)


手作りした絵本を手にする
後藤政幸さん
 絵本のタイトルは「だいじょうぶ だいじょうぶ みんな だいすきだから」。自分の体験をもとに障害を持ちながらも明るく元気に生きる人たちや周り人の深い愛や思いやりを描いた作品で、交通事故で片足を失った後藤さんが文を、友人の加藤優一さん(40)=岐阜県池田町=が絵を担当した。ボランティアの助けを借りながら手作りした絵本は、口コミで広まり、2008年9月の作成以来、既に7000部をクリアした。「一本足のごっちゃん」の愛称で呼ばれている後藤さんは「生かされている意味、楽しむ意味、ワクワクする楽しさ、その思いをすべての人たち、すべての子供たちに伝えられたらうれしい。絵本に託したメッセージを世界に広げたい。少しでも世の中のお役にたちたい」と、話す。


手作りの絵本(日本語と英語版)
 後藤さんは2002年1月、運転していた車がガードレールに激突し左足を骨折。16時間以上の手術にもかかわらずに患部の壊死が止まらず左大腿部を切断、片足生活に。その3年前には、1人が亡くなる交通事故を起こしており、「なんで俺は生きているのだろう」と、自問自答する日々が続いたという。そんな中、いろんな人との出会いから、生かされている自分に気が付いた。2008年夏、障害のある妹を持つ加藤さんと絵本を作ることで意見が一致した。「これまでに文章を書いたことがなかったが、通勤の途中にひらめいた文を会社でさっそくパソコンに打ち込み、手直しして完成させた」と後藤さん。加藤さんも初の挑戦で絵をパソコンで描いた。当初は印刷もパソコンのプリンターを使っていたが、プリンターだと水に濡れるとにじむので、今は業者に任せている。製本はボランティア仲間たちが協力している。「大人から子供まで広く読んで欲しかったので絵本にした。やっていることは明治維新のころと同じ。手作りし、口コミと手渡しで販売してきたが、多くの人に読んでいただいている。乳がんを患ったオーストラリア在住の日本人の方からメールが届き、オーストラリアでも絵本を広めたいので英訳を付けたら、との助言もいただき、英訳も付けた。目標は1万部」と柔和ながら意欲的な後藤さん。


講演会の様子
 絵本を読んだ人から講演依頼が次々と来ており、これまでに県内だけでなく、愛知県や三重県、石川県などに出かけている。小学生が相手だと、絵本の読み聞かせをしながら、体験談を語ったり、1本足をどう思うかなどの、質疑応答をしているという。佐賀県や宮崎県、茨城県など遠くに出かけたこともある。絵本を読んだり、講演を聞いた人からは「世界にはいろいろな障がいを持った人と持たない人も、みんないっしょで、みんな仲間なんだということが分かりました。みんな助け合っていきていくことは大切だと感じました」(小学4年生)や「いつも感謝の気持ちで生き、自分が受けた愛情を今度は周りに還元できるように、心に愛と思いやりを持ち、生きていたい。とても心に響く素晴らしい時間をありがとうございました」(専門学校1年生)などの感想文が寄せられている。


ボランティア仲間たちと
 後藤さんは「片足になったが、交友範囲も広がり、それ以上に満足した人生を送らせてもらっている。絵本を読んだ人が元気になってくれたらうれしい。第2作についてもアイデアはある。みんなと相談しながら進めていきたい」。
2014.04.01(子林 光和)

今回の西美濃な人

後藤 政幸(ごとう まさゆき)

京都市生まれ。2006年の障害者全国スポーツ大会兵庫大会で40歳以上の部競泳50メートルフリーと25メートルバタフライで金メダル。
最近は泳いでいないが、愛知県の伊良湖岬でサーフィンに挑戦したいという。
好きな言葉は「天命に生き天命に死す」。
 岐阜県池田町で母、妻、2人の娘との5人暮らし。
絵本は1冊1000円(本体価格)。希望者はHPまたは「一本足のごっちゃん」で検索。電話090-7303-6543(後藤さん)へ。
発行所は絵を担当している池田町八幡の加藤さんの店「ブルースカフェ」。


地図


大きな地図で見る


関連リンク