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不思議な魅力を持つ「もめんの花」の創始者、早野 由美さん(73)


早野由美さん
 温かくて、可愛らしく、手触りが良く、不思議な魅力を持つ「もめんの花」。自然の花の色を参考にして染め上げ、特殊加工した木綿の布を使い、折り紙や切り紙のように折ったり、切ったり、貼ったりして作り上げる。道具はハサミと接着剤だけ。早野さんから指導を受ける受講生たちは時間を忘れて楽しそうに挑戦している。
 花だけでなく、野菜や果物、人形など、これまでに350点以上の作品の作り方を考え出したという早野さん。「自然の花に感謝しながら、より自然に近い作品を作り続けたい。そして一人でも多くの人に知ってもらいたい。日本だけでなく、世界にも広げ、作る人、プレゼントされた人が幸せを感じることが出来るように願っています」と語り、夢は広がる。


花や野菜、果物などの作品
 「もめんの花」誕生のきっかけは1987年に放映されたNHKテレビ。古くなったタオル地を1センチメートル角に切り、接着剤で丸めて作る「木の実作り」の番組を見た早野さんは、「タオル地で出来るのなら木綿の布地(ニット織)でも作れないか。木綿の布地は自然素材なので、きっと温かみのある、より自然に近い花ができるのではないか」と考え、試行錯誤しながらTシャツの生地を使ってカスミソウを作り上げた。その作品を見た近くの幼稚園や小学校、中学校関係者から次々に「私の幼稚園や学校の家庭教育学級で作り方を教えて」などの要望が早野さん宅に届いた。
 それ以来、早野さんはカメラを手に野山に出かけ、道端に咲く一本一本の花を撮影したり、表や裏からながめ、花や野菜、果物などの作品を作ってきた。実用新案特許と商標登録も取得している。


もめんのバラ
 「新しい作品を考え出すと夜も眠れない。布の色も思うような色が出ずにやり直しの連続でした」と語る早野さん。不眠とイライラの連続からか、体を何度も壊しながらも常に新しい作品を生み出している。それでも「新しい花、作品に挑戦している時、そして出来上がった時の喜びは格別」と、常に前を向いて進む。


もめんの花教室
 早野さんが考案した手工芸「もめんの花」教室は、県内をはじめ、東京都や神奈川県、三重県で開設されており、受講生は300人以上という。早野さんや認定を受けた講師約20人が指導している。受講生の年齢層は5歳から93歳と幅広い。これらの教室の合同作品展を2年に1回開催している。
 昨年9月には、「もめんの花」誕生25周年を記念した第8回合同作品展が大垣市スイトピアセンターであり、受講生らの作品3000点以上が展示された。受講生ら158人が1人1点づつ作成した2020年の東京五輪にちなみ、メダリストに贈られる「ビクトリーブーケ」を模した作品が来場者を出迎えたほか、四季折々の花や果物、人形などが会場狭しと飾られ、訪れた約1200人の目を楽しませた。


ビクトリーブーケを模した作品
 教室以外にも、ボランティア講師多数が地域の婦人会や老人会、子供会などで教えている。早野さんは「かつてはイタリア・ミラノで教えていた門下生もいた。大垣市で生まれた『もめんの花』。可能なら東京五輪の『ビクトリーブーケ』を作りたい。そして世界各地に持って帰ってもらいたい」と夢を膨らませる。受講生たちは「時間を忘れて無心に取り組める。手触りが魅力。手先を使う楽しさがある。早野先生はものづくりの天才。話術もうまく引き込まれる」と、うれしそうに話す。
2014.02.03(子林 光和)

今回の西美濃な人

早野 由美(はやの よしみ)

 とにかく良くしゃべる。頭の回転が速く、常にしゃべりながら次に話すことを考えているようだ。「私が今あるのは支えてくれた受講生や周りの人たちのお蔭。感謝しています」と語り、教室でも受講生たちといろんな話をしながら指導する気配りの人。
 大垣市多芸島の自宅で夫と2人暮らし。動物好きで犬2匹も家族同様に生活している。自宅2階の工房は「もめんの花」がいっぱいで花園のようだ。
連絡先:0584-89-3900(自宅)