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子供たちに感動を与える「SL保存会」の会長、横田 健治郎さん(73)


SLの前に立つ横田 健治郎さん
 岐阜県大垣市室本町の市スイトピアセンター・こどもサイエンスプラザ。毎月第1、第3日曜日には、同プラザ1階に保存・展示されている「C11 155号蒸気機関車(SL)」の見学説明会が開かれる。運転席もこの日は一般公開され、鉄道好きの子供たちが運転席に座り、SLの機関士になった気分で楽しんでいる。説明しているのはSL保存会の会員。そんな会員の姿を眺めながら横田さんは「SLの魅力を多くの人に知っていただくとともに、会員みんなが元気で楽しくやってくれるのが一番うれしい」と物静かに語る。


こどもサイエンスプラザに保存・展示
されている「C11 155号蒸気機関車」
 展示されているSLは、1940年8月に大阪の汽車製造会社で造られ、中央本線多治見機関区で約4年間活躍した後、名古屋機関区、大垣機関区(現在の大垣電車区)に移り、東海道本線の米原〜豊橋間や大垣〜武豊間のほか、垂井線、美濃赤坂線、樽見線でも走った。大垣駅構内では車両の入れ替え用に利用された。1972年4月15日の樽見線でのサヨナラ運転を最後に引退した。この間32年間に約132万3052キロメートル(月と地球の間を1.5往復)以上走った。大きさは重さ68.1トン、全長12.7メートル、高さ3.94メートル、幅2.83メートル。「大垣の発展を支え、市民に親しまれたSLを後世に残そう」と、引退後に大垣市が国鉄(現在のJR)から車両を譲り受け、スイトピアセンターの南駐車場に展示した。その後、こどもサイエンスプラザの完成に伴い、1995年7月から、同プラザ1階のガラス張りの吹き抜けで保存・展示されている。横田さんは「SLは大きく、建物の中に展示されているのは珍しいのでは。さびなくてほこりもなく、きれいな形で残されている」と喜ぶ。


清水さんから説明を受ける子供たち
 保存会はSLが市に寄贈されたのを機会に結成された。現在の会員は60歳代〜90歳代の30人。大垣電車区で勤務したことがある元機関士や検査係ら。見学説明会を4〜10月までの第1、第3日曜日の午前10時〜午後3時まで開催するほか、年に5回、SLの清掃をするなどの活動をしている。会場では展示されているSL前の解説盤スタートボタンを押すと、「シュ、シュ、シュ、ポー、ポー」と、SLが駅を出発する時のリズミカルな蒸気噴出の音や力強い汽笛が鳴り響く。一般公開された運転席室では会員たちが中の説明をしたり、操縦の仕方を教えてくれる。4月19日には副会長の清水与志雄さん(78)が、「ブレーキを掛けるときはこのレバーを。機関車本体だけと、客車や貨車を牽引する時のブレーキと、大小二つのブレーキがあるのだよ」「ここから石炭を入れたんだよ」「汽笛の音だよ」などと親切に説明していた。説明を受けた子供たちは「初めて見た」「迫力があった」「運転席に座れてうれしかった」などと興奮気味に話した。親たちはその姿をカメラに収めていた。


SLの車体を磨く保存会員
=大垣市文化事業団提供
 SLの清掃には毎回12〜13人が参加。午前10時から2時間かけて車体を油拭きしたあと、きれいな布で磨いたり、運転室を丁寧に清掃する。作業の合間には昔話にも花が咲き、SLを磨く手にもおのずと力が入る。会員たちは「みんなと会えるだけでもうれしい。黒光りするSLを見ると、走っていたころを思い出す」などとうれしそうに話していた。
 保存会では、大垣市制90周年やSLの同プラザ展示20周記念でミニSLの試乗会をスイトピアセンター広場で開いており、横田さんは「3年後(2018年)の大垣市制100周年にも蒸気で動くミニSLの試乗会を開きたい」と語る。
2015.06.01(子林 光和)

今回の西美濃な人

横田 健治郎(よこた けんじろう)

 滋賀県長浜市出身。現役時代は電車の検査・修繕を担当。SLには携わっていない。SLの魅力を「動輪の大きさと蒸気の力」と語る。入会してまだ6年と短いが3年前に約30年会長を務めた先代に代わって会長に。「鉄道退職者の会」の岐阜県事務局を担当するほか、昨年まで6年間、地元自治会の副会長を務めるなど面倒見が良い。健康法は「身体を動かすこと」。そのために「畑で野菜を栽培しているが、これが身体を一番良く動かし、健康に良い」と笑う。大垣市楽田町で妻と2人暮らし。


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