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真心を込めて美しく香りの良い花苗を育てる「大野町バラ苗生産組合」、青木 宏達さん(58)


バラのせん定をする青木宏達さん
 エレガントで花の女王とも呼ばれるバラ。そのバラ苗の生産量日本一を誇る岐阜県大野町。同町加納の「バラ公園」では今年も5月8〜29日にバラまつり(大野町観光協会主催)が開かれる。期間中、同町で生産されたバラ苗などの販売も行われる。見ごろを迎えると思われる16、17の両日には、地元の子供たちや大垣女子短大の学生たちによる演奏会などのイベントも企画されている。バラ苗をつくり続ける一方、新種改良にも取り組む青木さんは「バラは花がきれいで香りが良い。ぜひ見に来て楽しんでください」と呼びかけている。


多くの人でにぎわうバラまつり
=大野町観光協会提供。昨年写す
 子供のころから花が好きで「花を育てたい」という夢を持っていた青木さん。学生時代のアルバイトも花屋が主だったという。20歳の時には、ヨーロッパに45日間の旅をして花を見てきたという。そんな青木さんがバラ苗の生産を始めたのは29歳の時。東京農大で造園学を学び、造園会社とシンクタンクで計6年間働いたあと、故郷の大野町に戻ってから。畑の隣の人がバラ苗を育てていたのがこの道へのきっかけとか。元々花が大好きな青木さんは野菜や果樹、コメなどの栽培とともに、10アールの畑でバラ苗の生産に取り組んだ。


青木さんが開発した「夜来香」。
上品な色と香りが漂う
 青木さんは、野バラ(ノイバラ)の実生台(種子をまいて1年育てたもの)に接ぎ木をして苗をつくり、温室で丈夫な苗に育てて販売している。10年ほど前までは切り花用が中心で、1種類に100〜1000本の注文があったが、外国からのバラに押されて切りバラを販売する業者が少なくなり、最近はガーデン用がほとんど。1種類20〜30本の注文で多品種の生産が求められるようになった。このため、現在は60アールの畑で300種類以上のバラ苗を年間約8万本生産、販売しているという。品種改良にも積極的に取り組み、これまでに10種類の新品種をつくりだしている。このうち、▽香りが良く上品な藤色の花を咲かせる「夜来香(イエライシャン)」▽真っ赤な花の「ローズオリ」▽香りが良く薄紫色の花の「亜欧(アオ)」の3種類を新種登録している。いずれも丈夫で育てやすいという。特に「夜来香」は、2013年に新潟県で開催された「第6回 国際香りのバラ新品種コンクール」の背丈の高いハイブリッド・ティ部門で最高賞の国土交通大臣賞や新潟県知事賞などトリプル受賞に輝いた。
 バラ公園は1997年の開園。バラまつりはそれを記念して始まったもので5750平方メートルの敷地に国内外のバラ約150種2000本が植えられている。早咲きから遅咲きまでの品種がそろっており、期間中には同町内のバラ生産農家が品種改良したバラなど、色とりどりの花が咲き、色や形、香りを満喫することが出来る。まつり期間中に5〜6万人が訪れるという。青木さんは、一級造園施工管理技士、一級土木施工管理技士の資格も持ち、自宅と温室の間の畑には100種類100本のバラが植えられ、ローズガーデンとなっている。


バラ苗を植え替える沙謡さん
 岐阜県指導農業士として、後輩の指導にも当たる青木さん。「バラ苗の生産は奥が深い。難しい。何とかつくれると思えたのは10年ほど経ってから。品種も何万種類あるか分からない。世界で毎年、新種が生まれている。自分が思った新種が誕生した時は最高」と話す。そんな青木さんに昨年から、頼もしい助っ人が加わった。岐阜県立国際園芸アカデミーで学んだ三女の沙謡さん(24)がバラ苗生産の仕事を手伝ってくれるようになったのだ。沙謡さんが働く姿をそっと眺める青木さんの顔は幸せそうだ。
2015.04.01(子林 光和)

今回の西美濃な人

青木 宏達(あおき ひろたつ)

 剣道7段。趣味も健康法も「剣道」という剣道好き。岐阜県大野町剣道少年団の指導者として毎週火、木、土曜日の午後7時から1時間半、町武道館で小学生らに剣道を教える。好きな言葉は「継続は力なり」。子供たちには、努力することと、続けることの大切さを説く。周囲の人たちからは「優しくて気軽に話せる人」と慕われている。大野町古川の自宅で妻と母親、三女・沙謡さんの4人暮らし。


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