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「うまい酒」造りを追い求める大垣市船町、三輪酒造会長、三輪 高史さん(64)

三輪酒造会長 三輪高史さん 「地元の人に『うまい』と喜んで飲んでもらえる酒、自慢して誰かに持っていってもらえる酒を造りたい」と常に挑戦を続ける三輪さん。
 今年5月に広島県で開催された「平成24酒造年度全国新酒鑑評会」(独立行政法人酒類総合研究所、日本酒造組合中央会主催)では、同社が出品した大吟醸酒の「道三吟雪花」が「味と香りがよく、バランスのとれた酒」と評価され、見事に金賞を射止めた。

三輪酒造 店内の様子 1837(天保8)年創業と170年以上の歴史のある蔵元の7代目社長を先月まで20年間務め、代表権のある会長に就任した。1887(明治20)年建築の酒蔵は2011年に国の有形文化財(建造物)に登録された。

 蔵元の長男として生まれ、子供のころから「跡を継ぐように」と育てられていたこともあり、大学を卒業と同時に同社に入社。日本酒離れが叫ばれる中、観光地の名前やNHKの大河ドラマに合わせた商品を次々と開発し、自社ブランドづくりに取り組んできた。その中で誕生したのが純米にごり酒「白川郷」や「道三吟雪花」など。特に「白川郷」は当時の白川村長から父親である6代目社長が「どぶろく祭の土産用に売れる酒を造ってもらえないか」との依頼を受けて1976年に完成させ、販売を始めた。「観光客に喜ばれる商品を」のコンセプトで造られた酒は、発売当初から大変な人気を得て、今では、同社の主力商品に。国内だけでなく、アメリカやカナダ、オーストラリアなど世界各地で多くの人に愛飲されている。三輪さんは「白川村は大垣市から150kmも離れ、当時は交通事情も悪く片道4時間半もかかり、いろいろと苦労も多かったが、まさかここまで売れるとは思っていなかった。多くの人に支えられたお蔭。営業部長に就任し、長女が誕生した年に新発売されただけに生涯忘れられない」と当時を振り返る。

バロン(男爵)テッシンの並ぶ棚 「古いものを大切にしながら新しいものに挑戦」がモットーの三輪さん。創業170周年記念には、地元・大垣藩の幕末の救世主である藩老、小原鉄心の功績に思いをはせてもらおうと「バロン(男爵)テッシン」の発売を始めた。昨年からは、それまで新潟県や岩手県から来ていた杜氏(とうじ)を、社員杜氏に切り替えた。今回の金賞は、長い同社の歴史で初めての受賞。それを社員杜氏が造った酒がもたらした。三輪さんは「社員杜氏を育てるには約15年かかった。金賞をとるために酒を造っているのではないが、ベテラン杜氏ができなかった事を2年目の若い杜氏が造った酒で受賞できてうれしい。技術を磨いてきた結果」と素直に喜ぶ。

 社長業を婿養子の研二さん(41)に譲った三輪さん。「これまでに何度も蔵元を辞めなければと思った事もあったが、やってきて良かった。ご来店頂いたり、インターネットを通して注文していただくお客さんも増えた。これからも若い社長を助けながら、まちづくりや業界のために努力していきたい」。地域貢献にも意欲的だ。
2013.08.01(子林 光和)

今回の西美濃な人

三輪 高史(みわ たかし)

中央大学商学部卒。好きな言葉は「初心忘るべからず」「三方良し」。大垣市内で妻と3女の3人暮らし。長女と次女は結婚して独立。三輪酒造は大垣市上石津町松ノ木出身の徳次郎が現在地で創業(当時は澤田屋)した。酒をこよなく愛した小原鉄心が良く訪れたことでも知られる


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