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市民手作りの大垣市史を刊行させた元「大垣市史編さん室」室長、清水 進さん(77)


清水 進さん
 大垣市史は1930(昭和5)年度に上・中・下の3巻、68年度に新修大垣市史資料編1巻と通史編2巻、77年度に青墓編が刊行されている。そして今回、2003(平成15)年度から今春までの11年計画で資料編6巻、通史編2巻、考古編、民俗・輪中編各1巻の計10巻と別冊2巻が「平成の大垣市史」として完成した。
 清水さんは「当初は長い間従事しなければならないと思ったが、終わってみるとあっという間でした。中央の有名大学の著名な学者を招かずに地元の研究者で市民手作りの市史を作ることができた。多くの人の協力と若い研究者の努力で新しい地方史編さんのモデルを示せたと思う。市民の愛郷心が市史に反映して市民に愛着ある市史になることを願っています」と、満足そうに話す。


ファンも多い
「ふるさと歴史観光講座」
 「歴史が好きだったし、大学の卒論を書くために古文書を読んだのがきっかけで古文書を読む喜びを味わった」という清水さん。これまでに岐阜県史編集室に通算15年、岐阜市史編集室に発足当時の3年、そして今回の大垣市史編さん室に11年と合計29年間勤務、岐阜県史と両市史計45巻の刊行に携わってきた。このほか、美濃地方の地方史の執筆や古文書講座、歴史講演会などの講師を務め、古文書解読の人材育成、市民の郷土愛育成に尽力してきた。

 特に1966年4月にスタートした岐阜県古文書読解講習会の講師は半世紀近く継続しているほか、16年続くふるさと大垣歴史観光講座などの歴史講演会は年間80回を超える。古文書や古記録などに基づく講演は人気が高く、多くの「ファン」がいて毎回、清水さんの講演を聴きに訪れている。


成果と課題について話し合われた
「大垣市史刊行記念シンポジウム」
 今回の大垣市史編集に当たっても清水さんたちは「為政者の歴史でなく、その時代に生きた庶民の立場から見た歴史資料を提供し、日本史研究に貢献する」「執筆者と編さん室員は将来の地方史研究の人材育成のために若い研究者とする」「市民に親しまれる」などをコンセプトに取り組んできた。その結果について、3月末に開かれた大垣市史刊行記念シンポジウムでは、パネラーから「岐阜県史や岐阜市史を補完できる」「西美濃の歴史を知る上で貴重な資料」「使い手の立場に立って編集されている」「資料編に索引、コラム、解説を付けたことは、今後の他市町村史編さんの模範となる」などと高く評価された。さらに、収集した段ボール箱100箱以上の資料の保存と活用や新たな史料の調査など歴史研究の継続について意見が交わされた。


刊行された「平成の大垣市史」
 3月末で大垣市史編さん室長を終えた清水さん。市史編さん室長以外にも大垣市文化財審議会委員や各種文化団体の役員を長年務めてきた。これらの功績に対して大垣市は4月1日、市功労章を贈ってたたえた。
 清水さんは「古文書を読むことで史実の新発見や庶民の生活を知ることができる。一人でも多くの人にふるさとの歴史と文化に関心を持ってもらえればありがたい。若い研究者が育ってきているが、健康なうちは歴史講座や講演会を続けていきたい。歴史の語り部として話せる場を与えていただけるだけでうれしい。歴史研究を生涯の仕事として継続していきたい」と静かに語る。
2014.05.01(子林 光和)

今回の西美濃な人

清水 進(しみず すすむ)

 岐阜大学学芸学部史学科卒。大垣市立北中や岐阜市立長良中など県内小中学校の教諭、大垣市立西小校長、興文中校長などを歴任。現在は大垣市文化財保護協会副会長、霊山顕彰会岐阜県支部副支部長などを務める。
 著書に「大垣城の歴史」「船町港の歴史」「殿様のくらし」「美濃の歴史探訪」など多数。健康法は散歩。毎日4000〜5000歩を約40分かけて歩く。
 大垣市津村町で妻と2人暮らし。孫が遊びに来るのが楽しみという好々爺の一面も。大垣市史の申し込み・問い合わせは大垣市立図書館歴史研究グループ(旧市史編さん室、電話 0584-81-1803)へ。


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