「あしたの支援室」が開設されたのは2015年2月。小学校教諭を退職後、岐阜市の学習支援室のお手伝いをしていた伊藤さんが、大垣市から通っている子どもの親から「大垣市にもあったらいいのにね」と言われたのがきっかけ。1人親家庭や生活困窮家庭の子ども、障害があったり、学校になじめない子どもなど、なんらかの困難を抱えている子どもたちに、継続的に学習支援をしたり、居場所を提供したい、と綾野公民館を借りて始めたのだ。
原則、毎週土曜日の午後1時半〜4時に開設される「あしたの支援室」。月に1度の子ども食堂がある場合は正午開始。午後4時半〜6時半と毎週月曜日の夜は中学生の学習時間。伊藤さんと子ども3人でスタートした支援室。今では約40人の子どもとボランティアスタッフ14人と増えた。小学生の基礎学力の向上から中学生の高校受験の学習相談まで、幅広く個別に対応している。「支援室」には地域住民や企業から食料支援や衣料支援などがある。
取材させてもらったのは11月3日。午後1時前に訪れたが、伊藤さんは既に子どもたちを迎える準備を終えていた。しばらくすると、子どもたちが次々とやってきた。「オッス」と、元気な声で入ってきた男の子は、玄関を入ってすぐの部屋に用意してあったおにぎりをおいしそうに食べ始めた。今年から周囲の善意やスタッフの協力で、おなかのすいた子どもたちのために、毎回ミニランチが振る舞われているのだ。この日は、おにぎりと調理したウインナーやトウモロコシが食べて良いように置いてあった。おにぎりを食べたあとは、支援室に備えてある本を読んだり、持参の漢字や算数のドリルをやっていた。元気な子どもたちは、隣の公園で走り回ったり、ドッジボール、ブランコなどを楽しんでいた。
午後2時からは学習の時間。この日は最初に自己紹介。子どもたちだけでなく、スタッフも全員が行った。私も立ち上がって自己紹介をした。紙芝居を見たあと、持参した教科書などを使っての個別の勉強。大学生2人もスタッフとして協力しており、子どもたちの勉強の面倒をみていた。公園でスタッフと砂遊びをする子どももいて、スタッフと子どもたちのほほえましい姿が見られた。午後3時になるとおやつ作り。この日は、近くの人から差し入れてもらったさつもいもをふかしてみんなで食べた。子どもたちは「甘い」などと、うれしそうだった。伊藤さんたちに甘える子どももいて見ていても幸せを感じた。
伊藤さんは「子どもたちの成長が楽しみ。何も言わなかった子が話しかけてくるようになったり、不登校だった子が学校に通えるようになるとうれしい。様々な助成金を活用しながら運営しており、厳しい状況だが、『どのような子どもたちにも、あしたに希望を!』の思いを胸に、支援室を継続してやっていきたい」と明るく話す。
2018.12.03(子林 光和)