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愛と感謝と笑顔の「咲顔はじめ農園」で好きな農業を楽しむ、池井 元さん(56)


「自然とともに生きていきたい」と、
語る池井元さん
 三重・滋賀県境の岐阜県大垣市上石津町時地区。中心部には清流・牧田川が流れ、霊仙山や三国岳、烏帽子岳などの雄姿も眺められる。そんな自然豊かなふるさとで農作業に挑戦しているのが池井元さん。昨年春に脱サラして好きな農業の道に進んだ。所有する田畑だけでなく、高齢化やサルやイノシシの被害などから作り手がいなくなった耕作放棄地も所有者から借り受けるなどして積極的に農業に取り組んでいる。「自然とともに生きるのが好き。儲からないが農業は楽しい。次々とやりたいことが浮かんでくる」と、ほほ笑む。
 池井さんを農業の道に歩ませたのは3年半ほど前に82歳で亡くなった父親の寛さん。農家として土とともに生きる一方、庭木の剪定や山仕事にも従事していた。同居しながら父親の仕事ぶりを見てきた池井さんにとって尊敬する人であり、憧れの人でもあった。そんな父親が5年ほど前から身体が弱くなったのを見て父親の後を継ごうと考えてきたという。4人の子どもも自立したのを機会に、勤めていた大垣市役所を昨年3月末で早期退職した。


畑でジネンジョを掘る池井さん
=咲顔はじめ農園
 耕作しているのは、田んぼと約30平方メートルの小さなのから約3000平方メートルの大きなものまで大小約30枚の畑。育てているのはコメやジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、タマネギ、ジネンジョなど。近くの山から出没するサルやイノシシなどに荒らされるので、畑は比較的被害に遭いにくい土の中で育つものが中心。ナスやキューリ、ダイコンなど自分たちで食べる野菜は自宅前の畑に電気柵を設けるなどしている。耕作する農地の名前は「咲顔(えがお)はじめ農園」。みんなの心に笑顔がいっぱい咲き、愛と感謝と咲顔の農業を目指すとの思いを込めて今年2月に名付けた。自分の名前・元(はじめ)が真ん中に入っている。


ビニールハウスの中で
育てている花や野菜の苗
 「現在は、機械化された小品種・大量生産の大規模農家が多い。私が目指すのは多品種・少量生産。そして無化学肥料、無農薬栽培」と言う池井さん。農作物だけでなく、今年からは梅やクリなどにも挑戦するとか。地元の朝市などに出荷する農作物には、育て方やおいしい食べ方など、池井さんからのメッセージも付いている。愛情をこめて農作物を育てるだけでなく、子どもたちにも農業の楽しさや素晴らしさを知ってもらおうと、地元・上石津町だけでなく、知り合いを通じて大垣市中心部や名古屋市などの保育園児を招いてサツマイモの収穫体験もさせている。園児たちには焼いたサツマイモの振る舞いもした。
 「毎日がやりたいことばかり。夢がいっぱい」の池井さん。畑にビニールハウスを建て、チューリップやユリ、パンジー、サルビアなどの花の苗を育てているほか、トマト、ナス、キューリなどの苗も育てている。谷川の用水を利用したワサビ栽培にも挑戦している。


大自然に囲まれた池井さんの農地
=上石津町時地区
 公務員時代に多くの人と触れ合った池井さん。すれ違った人たちから「こんにちは」の声がかけられる。そんな声に、「生まれ育った時地区、上石津町が大好き。大垣市職員はやめたが、これからもみなさんのお役にたちたい」と、池井さん。みんなが育てた農作物をまとめて売り出す方法や出荷ルート探しを仲間たちと模索するほか、農業を通じていろんな人たちとつながりをもっていきたいと、農業体験の拠点として、宿泊や休憩が出来る施設づくりも考えている。既に準備として空き家を購入したとか。農業という好きな道で第二の人生を歩み始めた池井さん。頑張ってください。
2018.04.02(子林 光和)

今回の西美濃な人

池井 元(いけい はじめ)

 岐阜大学農学部を卒業後、旧岐阜県上石津町役場職員に。市町村合併に伴い同県大垣市職員。経済部農林課や建設部管理課の主幹などを歴任。周囲の人たちが「怒ったり、イライラしている姿は見たことがない」と言うほど、いつもにこにこしている。友だちからは「がんちゃん」と、親しみを込めて呼ばれている。移住・定住促進など、地域活性化の活動も続けている。趣味は花づくりと読書。「読書は乱読で手当たり次第読んでいる」とか。大垣市上石津町下山で妻と母親、二男との4人暮らし。


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