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郷土の歴史を子どもたちに伝える「大垣市歴史民俗資料館」館長、武藤 貞昭さん(63)


歴史に興味を持ってくれる子ども
が増えれば」と語る武藤貞昭さん
 古代歴史ロマンあふれる岐阜県大垣市。約1300年前、聖武天皇の詔勅によって建立された美濃国分寺跡(青野町)、岐阜県最大の前方後円墳・昼飯大塚古墳(昼飯町)など数多くの遺跡が残る。美濃国分寺跡に隣接する「大垣市歴史民俗資料館」では、これら先人の残した足跡を探る考古資料や西濃地方の民俗資料を常設展示するほか、子ども体験講座など様々な取り組みをしている。2013年4月から館長を務める武藤貞昭さんは「より多くの人に気軽に利用していただける資料館、親しんでもらえる資料館でありたい。子どもたちにも資料館を訪れ、郷土の歴史に興味をもってもらえたらうれしい」と、愛情込めて話す。


大垣の考古資料や民俗資料が常設展示
されている「大垣市歴史民俗資料館」
=岐阜県大垣市青野町
 「大垣市歴史民俗資料館」のオープンは1982年10月5日。1968年に始まった美濃国分寺跡発掘調査と、その後の整備を経て、国分寺や古墳など、同市の考古資料と民俗資料の一部を紹介する施設として建設された。現在、考古資料約1000点、民俗資料約1500点が収蔵されている。資料館の2階では、一般市民の写真展や折り紙、習字、手芸などの作品展のほか、企画展や連続講座などが開かれる。今年も10月8日〜11月20日には、企画展「古代からの大道脈 赤坂・青墓界隈」、さらに12月10日〜来年1月22日には企画展「和凧の世界」が計画されている。11月27日からは連続講座「古墳の基礎知識」が始まる。昨年11月には、1階考古資料展示室の弥生・古墳コーナーのリニューアルも完成した。


目を輝かせて古墳の模型作りをする
子どもたち=大垣市歴史民俗資料館で
 同資料館が力を入れているのが「子ども向けスペッシャル」。今年5月3〜5日の「こどもの日特別体験・昔の道具を使ってみよう」には、3日間で約200人の親子が参加し、炭火アイロンやてんびん棒、洗濯板などの昔の道具を使って楽しく遊んだ。7月31日には「夏休み親子体験教室・昼飯大塚古墳模型を作ろう」が開かれ、親子20人が、段ボール紙や紙粘土を使って約600分の1の古墳の模型を作った。根気のいる作業だったが、参加者たちは砂利をボンドで張り付け、葺石代わりにするなどうれしそうだった。8月7日と11日にあった第二弾の「夏休み親子体験教室・勾玉づくりに挑戦しよう」では、古代のアクセサリー・勾玉をやわらかい石・滑石で作った。勾玉づくりに挑戦する子どもたちの顔は輝いていた。12月4日には、火鉢でもちを焼いて食べたり、正月遊びをする「親子体験教室・火鉢であたたまろう」が計画されている。このほか、出前講座として希望のあった市内の小学校を訪れて、昔の道具を紹介し、触れてもらう「昔の暮らし」も開催している。


宝物を作るように真剣な表情で、
勾玉つくりに挑戦する親子たち=同
 子どものころから、地理や歴史が好きだったという武藤さん。大学の卒業論文には古墳のことについて書いたという。「土の中に埋まっていた歴史の復元にはロマンがある。歴史に興味を持ってくれる子どもたちが1人でも増え、未来につないでくれたら…。子どもたちは、頭の中の知識だけでなく、物を作ったり、触ったりすることで想像力豊かな人間に育ってもらいたい。紙粘土を使って古墳の模型を造るなど、立体的な物をつくることで子どもの手先が器用になってくるはず。仲間と誘い合って参加してほしい」と、呼びかける。
 大垣市歴史民俗資料館の開館時間は午前9時〜午後5時。休館日は火曜日(祝日の場合は翌日)と祝日の翌日、年末年始の12月29日〜1月3日。入館料は一般100円、高校生以下無料。20人以上の団体は半額。電話0584-91-5447。
2016.09.01(子林 光和)

今回の西美濃な人

武藤 貞昭(むとう さだあき)

 岐阜大学教育学部卒。社会科教師として岐阜市立鶉小学校や岐阜県大垣市立興文中学校教諭など、両市の小中学校教諭として教壇に立つ。大垣市立青墓小学校長や同市立北小学校長なども歴任。この間、徳山ダムの建設に伴い湖底に沈んだ旧徳山村の文化財発掘調査にも携わる。岐阜県文化財保護センターの調査部長も務めた。周りの人たちからは「物静かで、優しい先生」と慕われている。健康法は「食べ過ぎないことと、なるべく車を使わずに徒歩か自転車を利用する」こととか。大垣市木戸町で妻と母親、娘の4人暮らし


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