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心豊かな社会の実現に向けてメッセージを発信する「土川商店」店主、土川 修平さん(63)


キノコの菌打ちをする土川修平さん
 岐阜県池田町の池田山(標高924メートル)山麓の土川商店。約150年にわたって食品雑貨店を営んでいる。道路を挟んだ店の前には、ブルーベリー園やベンチ、石窯、バーベキュー施設などを備えた「土川ガーデン」がある。5代目当主・土川さんは、ここを拠点に「池田山麓クラフト展」「願成寺古墳群美術展」「草の根交流文化サロンinSEINO」などの催しを地元の人たちと一緒になって取り組んでいる。土川さんは「芸術作品に触れたり音楽を聴いたりすれば、誰もが心豊かになれる。文化の薫り高い空間づくりのヒントが生まれるかもしれない。関心のある人たちの参加を待っています」と物静かに語りかける。


ピザなどを焼く石窯=土川ガーデン

楽しくくつろげるバーベキュー施設
 「土川ガーデン」は約1500平方メートル。約15年前までは耕作放棄地だった場所に、美しい花を咲かせたり長期間にわたって実をつけてみんなに収穫を楽しんでもらえるブルーベリーを植えたり、石窯やバーベキュー施設などを地域の人たちの協力を得てつくった。原点となったのは、郡上北高校に赴任していた約40年前に魚釣りの好きな職場の仲間と荘川村(現高山市)に土地を買って建てた山荘「ほうば美荘」。周囲はカラマツと白樺に囲まれ、前にはイワナやヤマメが泳ぐ川が流れていた。そこでは魚を釣ったり酒を飲んだりする一方、自然と人間の関係を総合的に考える「国際自然学研究所」と名付け仲間たちは昆虫の研究をしたり論文を書いたりした。その後、日米の教員交流事業でアメリカ・アイオア州でホームスティした際に参加した野外パーティも「土川ガーデン」の参考になった。土川さんは「広大な牧場に参加者たちがいろんなものを持ち寄り、納屋ではバンドの演奏が行われ、その雰囲気がとても良くいつかこんなことができるといいな」と考えていたという。ほうば美荘にもなかなかいく機会が少なくなり、ふるさとでそんな思いを実現させたのだ。


歴史を感じさせる願成寺古墳群
 「クラフト展」は、地域交流の場であり新しい池田の発見、発信を目指して2008年に発足。当初3年間は土川商店前などの神社参道にブースを設置、全国から持ち寄られた手作りの作品が展示、販売された。地元特産品や加工品の販売も行われ訪れる人も多く、その後は会場を近くの桜の名所・大津谷公園に移した。昨年は休んだが今年は池田町観光協会主催でサクラまつり期間中の4月5日に開く。「願成寺古墳群美術展」は、優れた芸術作品に接して心豊かな地域づくりに貢献するために「クラフト展」と連動して近くの神社境内で始まったが、クラフト展の会場変更に合わせて願成寺古墳群に移った。今年は4月18日〜5月10日。期間中に作品鑑賞会や古墳見学会もある。文化活動をしている個人や団体の活動紹介や情報交換の場が「草の根交流文化サロンinSEINO」。2012年2月から、土川ガーデンなどで年6回開催。昨年12月には「鷹から学ぶ自然と文化」をテーマに開かれた。

 土川ガーデンには、コンテナを活用した図書館もある。「ほうば美荘」をつくった友人の遺族から蔵書をもらったのをきっかけに、中古コンテナを格安で譲り受け、昨春に店の屋号を冠にした「かさじゅうコンテナ文庫」と名付けて開館させた。中には漫画、童話、絵本などが並び、子供たちが楽しそうに読んでいる。土川さんは「みんながワイワイ話し合ったり楽しんでくれるのを見ているだけでいいんです。まちおこしのために始めたのではないが、それが結果としてなっていればうれしい」とほほ笑む。
2015.03.02(子林 光和)

今回の西美濃な人

土川 修平(つちかわ しゅうへい)

 元岐阜県立高校社会科教諭。岐南工業定時制を振り出しに郡上北、加納、大垣北、大垣工業高校の教壇に立つ。途中には岐阜県教育委員会文化課にも勤務した。明治後期から大正、昭和にかけて活躍した岐阜県揖斐川町出身の日本画家、野原桜州の研究家としても知られる。土川商店には隠居部屋だった住居を利用した「ギャラリー」もあり、作品展示のほか、句会などの場としても利用されている。池田町宮地で妻と母親、娘の4人暮らし。


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