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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

言の葉

 三寒四温と言われますが、地球温暖化のせいでしょうか、雪も余り降らずにこの冬は終わろうとしています。庭先には黄の水仙がつぼみを含らませ、クリスマスローズが咲きはじめ、春の足音を身近に感じるようになりました。

 卒業式まで、あと1ヶ月程となり、新たな旅立ちを迎える子どもたちは、今、どんな思いでいるのでしょうか。

 私たちの時代、卒業式の歌といえば「蛍の光」でしたが、今はどうでしょうか。そういえば、ふと思い出したことがあります。2番の歌詞は、「とまるも いくも かぎりとて かたみに おもう ちよろずの こころのはしを ひとことに さきくとばかり歌うなり」ですが、漢字で書けば「互に思う千万の……幸くとばかり……」となります。ある時、「さきくとばかり」が「先行くとばかり」と書かれていたことがあって、誤りと言うこともできず、「平仮名にされてはどうですか。」と言ったことがありました。遠い昔のことです。この曲は、2番までだと思っていましたが実は4番まであり、3番には「ひとつに尽くせ国のため」、4番には「千島のおくも沖縄も八島のうちの守りなり」(原詩は平仮名かもしれません)があって、明治の頃の考え方は現在の沖縄に続いているのかと改めて思ったことでした。

 歴史は移り変わり、ことばも又、変わっていきます。新しいことばが生まれ、その陰で消えていくことばも多いのではないでしょうか。先述の「幸く」にしても、漢字で書かなければ歌詞の意味さえも伝わりません。おそらく日本人が昔から大切にしてきた微妙なニュアンスのことばも今後は消えていくのではないでしょうか。

 昔は1歳児のけんかだった押す、叩く、髪を引っぱる等、ことばで言えないが故の止むを得ない意思表示だと思うのですが昨今の様子を見ていると、小中学生のみならず大人にも表現する力の弱さが見てとれます。使われずに消えてゆくことばもあり、知っていても当然と思うようなことばも使われなくなって、人と人をつなぐものが益々細っていくような気がしてならないのは、私だけでしょうか。短いことばや絵文字の便利さに流されずに、日本語のもつ美しさを忘れないでいたいと思っています。


2019.2.18 発行



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