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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

立冬を迎えて

 樹々の紅葉が美しくなり、秋が深まってきたと思っていたら、暦の上では立冬になり、時雨の日が多くなりました。

 この季節になると、徳冨蘆花の『自然と人生』の一節が頭に浮かぶのは、若い頃の記憶のなせるわざだと思いつつ、昨日読んだ本の内容を、もう忘れてしまっていることに慄然とします。これも“立冬に入った灰色の脳細胞”のせいでしょう。

 ところで、そんな私に元気をくれているものは、やはり子ども達との関わりなのだろうと思います。

 就学を控えたAちゃんは、ドラえもんが大好き。「そう、Aちゃんはドラえもんが大好きなんだね。先生は忘れちゃったけど、何とかコプターってあったよね。」「ああ、タケコプター。」「そうそう、何とかドアっていうのもあったでしょ?」「うん。どこでもドアだよ。」等と話しているとAちゃんの瞳が生き生きしています。そんなキラキラした瞳に会うと、私は嬉しくなります。

 先日は、歴史好きの少年に会いました。「どの時代が好き?」「戦国時代と江戸時代。」「へえー。じゃあ関ケ原合戦のことも知ってるんだね。」「うん。」「東軍と西軍とどちらが勝ったんだっけ。」「東軍!」等々会話を重ね、私が好きな石田三成や佐和山城のことなどにも話が及びました。少年よりも少しだけ知っていることが多かったので、別れ際に「今度また歴史のクイズしようね。でも先生は古代史は苦手なんだ。だから古代史の問題は出さないでね。」と言っておきました。きっと彼は今度会う時には私をやりこめるべく古代史のクイズを用意するだろうと期待しながら別れたのでした。

 発達上のつまずきがある子、園や学校で自分の思いが伝えられずに様々な行動を起こしてしまう子など困っている子どもたちに出会って話をするのが楽しいのも、私が子どもたちから力を与えてもらえるからだと思います。子どもたちと話していると「子どもっていいなあ。」「子どもってすごいなあ。」「何てかわいいんだろう。」……そんな感情が沸沸と湧き上がってくるのを感じるのです。そして、私ももう一度幼い頃に、少女の頃に戻れたらいいのに……と思います。どんなことにも興味をもって、キラキラした瞳で周りを観て、聴こうとしている子どもたちの良さをもっともっと引き出してあげられたらいいな、形ばかりにこだわらずに……。そして、それは大人の役目でもあります。


2017.11.13 発行



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