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ひまわりからのメッセージ

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ひまわりからのメッセージ

春三月 やわらかな光の中で

 先日、旅仲間の同窓会があって、伊豆の河津桜を見に行ってきました。大島桜と緋寒桜が自然に交配してできたということで、染井吉野よりもピンクの色が濃くて遠くから見ると紅梅のようでした。木の下には菜の花も咲きほこり、一足早く春の息吹を感じてきました。

 帰宅して、ふと見ると庭先ではクリスマスローズの花茎がいつのまにか伸びており、すみれが濃い紫の小さな花を咲かせていました。季の過ぎゆきを感じ、思わず坐りこんで菫に見入ってしまいましたが、華やかな花よりも野の花や地味な花に心惹かれる自分に改めて気づかされたことでした。

 山路きて何やらゆかしすみれ草

すみれの花を見ていたら、上石津で見かけた芭蕉の句碑が心に浮かびました。この句は、芭蕉の『野ざらし紀行』の中の有名な句です。すみれは山でなく野にあるもので、この句はいいのかどうかといった論争があったと知りましたが、芭蕉は、山路を来たからこそ、心惹かれたのでしょう。

 ところで、最近、年令のせいなのか、自己主張の激しい人や、他人をさげずむような態度をとる人に怒りよりも、より憐れみを感ずるようになりました。けれども、さて自分はどうでしょうか。他人から見ると、私もはなもちならぬ人間に見えているのかもしれません。

 子どもたちのきらきら輝く瞳に恥じない大人でありたいと常々思いつつ、又、年度末を迎えます。

 春三月、別れの季節です。でも新たな出会いと新たな出発が目の前に待っています。希望をもって一歩を踏み出しましょう。


2015.3.10 発行



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